【人事必読】老人ホームや介護施設に最適な産業医が兼ね備えるべき3つの特徴

この記事はこのような方に向けて書いています。

・産業医をこれから雇おうと考えている老人ホーム・介護施設の担当者の方

・老人ホーム・介護施設に勤務するメンタルヘルス不調者に悩んでいる担当者の方

老人ホーム・介護施設は生きている人間を相手にする特別な現場です。特に介護に関わる場合、身体的な負担もかなり大きなものになります。

24時間対応を求められることも多く、身体的な負担だけでなく精神的な負担もかかります。人一人の世話をするというのは大変なことであり、理不尽な目に遭うことも少なくありません。

そのため、ストレスによってメンタルヘルス不調を起こす可能性も十分に考えられます。メンタルヘルス不調になった際に早期対処することも重要ですが、メンタルヘルス不調にならないようなシステム作りも重要です。

この二つを行なっていくためには、契約している産業医の役割がより重要になってきます

本記事では産業医選びでお悩みの人事・労務担当者に向けて産業医に対して何を求めるべきか、老人ホーム・介護施設に向いている産業医とはどういうものか解説しています。また最後には記事のまとめとなるチェックリストも記載しています。

ぜひ、産業医を契約中の方はその産業医が本記事で解説した特徴を持っているか、産業医をこれから契約する方は産業医を選ぶにあたって何に注目すればいいのかをこの機会にご確認してみてはいかがでしょうか。

目次

老人ホーム・介護施設での労働災害とは?

身体面での労働災害には何がある?

老人ホーム・介護施設での身体面での労働災害は提供するサービスの内容によって割合が異なり、訪問系及び通所系サービスを提供する施設では「転倒」が最多で、短期入所系・居住系・施設系・多機能系サービスを提供する施設では、「動作の反動・無理な動作」が最多となっています。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000838437.pdf

この「動作の反動・無理な動作」のうち、「介助作業」での被災が最も多く、ベッド上での介助作業とベッド移乗作業が半数を占めます。さらに事故が起こるのは一人で介助を行っていた場合がほとんどです。 「動作の反動・無理な動作」はしばしば腰痛を引き起こす原因になります。

介護の現場では女性職員や特定技能等で来日している外国人の職員も多く、利用者より小柄であることでより負担がかかりやすくなっています。自分より重い利用者を支えようとして倒れたり、転びそうになったところをとっさに助けようとして自らが犠牲になることも多く見られます。人員が限られていて現実的ではないかもしれませんが複数人で介助を行う、作業姿勢を見直すことが腰痛の対策として効果的だと考えられます。

「転倒」を要因別にみると、「滑り」、「つまづき」がそれぞれ4割程度であり、場所別では「施設内」が6割、「施設外」が4割となっています。

転倒災害を防止するために以下の取り組みを行うことが推奨されています。

  • 4S活動(整理、整頓、清掃、清潔)
  • 危険の見える化(転倒の危険がある場所を分かりやすく表示する)
  • すべりにくい靴(耐滑性の高い防滑靴)の着用
  • 転倒予防体操の実施

精神面での問題とは?

施設利用者の方は体が自分の思うように動かないことへのストレスから職員に強く当たってしまうことがあるかもしれません。

また、心無い言葉を浴びせたり、手をあげてしまったりすることや、施設利用者のご家族から理不尽なクレームで悩んでいる方がいるかもしれません。

実際に老人ホームや介護施設は精神的に負荷が強く、それぞれに対応していくことが必要になってきます。

老人ホーム・介護施設が産業医を選定する際の注意点

まず、産業医の選定の条件についてどこまで知っているでしょうか?

産業医の法的義務

  • 産業医の選任義務:まず、常時50人以上の労働者を使用する施設においては、事業者は産業医を選任しなければなりません。(労働安全衛生法第13条、労働安全衛生法施行令5条)
  • 産業医の届出の重要性:産業医を新たに選任する場合や、既存の産業医を変更する際には、労働基準監督署への届け出が必須です。(労働安全衛生規則第2条第2項、同規則第13条第2項)

産業医の選定時の注意点

  • 代表者の兼任の禁止:労働安全衛生規則が改正されたことで(平成29年4月1日施行)、法人の代表者(介護施設長等)が産業医等を兼任することは禁止になっています。これは、施設経営と職員の健康管理の間に利益の衝突が生じるのを避けるためです。

老人ホームや介護施設では運営している医師は代表者になることはできないため、そこは注意が必要です。

これらを大前提にして、老人ホーム・介護施設で健康と安全を支えるために最適な産業医を選定することが必要不可欠になります。

それではどのような産業医が老人ホーム・介護施設に向いているのか解説していきます。

老人ホーム・介護施設に向いている産業医の3つの特徴

産業医に必要な知識を備えていることは前提として、病院に向いている産業医の特徴を解説します。

1.経営陣との中立的な関係

施設の経営陣と深い関わりがあると、労働者の健康管理と事業経営上の利益が一致しない場合に経営陣の意向を最優先して産業医としての職務が適切に遂行されないおそれがあります。産業医は経営陣の意見を踏まえつつも、第三者としての立場を保ち、中立的な判断を下すことが重要です。また時には、経営陣に対しても諫言ができることが必要になります。

施設としては意向に忠実に従ってもらえる方がいいと思われるかもしれませんが、産業医が中立な立場を守り、不適切な人事などを防ぐことは結果的に不要なリスクを回避することにつながるので、経営側にもメリットがあると言えるでしょう。

2.コミュニケーション能力があること

施設職員の方がメンタルヘルスに問題を抱えている場合、さらにメンタルに余計な負担をかけないように産業医は特に注意を払う必要があります。

コミュニケーション能力は効率的に職員の方から事情を聞き出し、望んでいることを適切に把握するために必要不可欠な能力になります。

この中で高齢者の診察経験があると現場でどのようなニーズがあるのか分かりやすいため、認知症や介護が必要な方の診察経験が豊富だと良いかもしれません。

3.柔軟性と適応力

介護業界の環境は絶えず変化しています。

産業医には新しい政策や状況に迅速に対応し、問題解決を図る能力が求められます。

政府が推進している働き方改革では経験や技能のある介護職員の待遇を改善したりICTの導入を進めたり多様な取り組みを行っています。

きちんと現場に反映されているか確認を行うにはこのような情報を素早くキャッチする必要があります。このように新たな情報を産業医の職務に活用する適応力は重要になってきます。

総括:老人ホーム・介護施設における産業医のチェックリスト

老人ホーム・介護施設で求められる産業医の特徴について考察した記事はいかがでしたでしょうか?自分の職場の産業医は、今回の記事で述べたような特徴をしっかり備えていましたか?

老人ホーム・介護施設における産業医の役割は多岐に渡ります。そして職場の健康と安全の環境を向上させるために行動することが重要となります。職場にマッチした産業医を選ぶ事ができると、労働災害のリスクを低減させることだけでなく、労働環境の質の向上と従業員の意識改革につながり、結果的に生産性の向上にも寄与するのです。

産業医を選ぶ際には、その経験、知識、技術、およびコミュニケーション能力を総合的に評価していくことが重要です。今回挙げた特徴も有効活用してあなたの職場にあった産業医を選定できれば幸いです。

最後に、老人ホーム・介護施設が採用すべき産業医の基準をチェックリストにまとめました。

あなたの職場の産業医は大丈夫??老人ホーム・介護施設の産業医チェックリスト

【必須条件】

□ 介護の現場への理解 :老人ホーム・介護施設の現状を理解し、適切なコミュニケーションがとれるか

□ 知識や経験の有無 :法律や危険物の管理などに精通しているか

□ 説明の明瞭さ:専門用語を避け、従業員にわかりやすい用語を使えるか

□ 傾聴力:経験や知識だけを主張せず、現場の状況を踏まえながら一緒に考えてくれるか

□ 迅速な連絡対応:問い合わせに対するレスポンスが迅速か

【副次条件】

□ 施設経営陣との関わりがないか:施設の利益のためではなく、従業員の立場に立てるか

□高齢者(特に介護が必要な人)の診察経験が豊富か:職員がどのような人を相手に仕事をしているかの想像ができるか

これらは老人ホーム・介護施設が雇うべき産業医の条件の一例です。そして、この項目の中で、特に大事になることは『現場にあった提案をすることのできる産業医』です。現在の産業医がこの条件を満たさない場合は、変更を検討することも一つの選択肢です。

「老人ホーム・介護施設に向いている産業医」についての記事はいかかでしたでしょうか?

ライフインベスターズでは、コミュニケーション能力や専門性など、書類や面接審査を通じて一定の基準を満たした厳選した産業医が所属しております。

大手法人様はもちろん、これから衛生委員会を立ち上げるスタートアップ・ベンチャー企業様への対応経験も豊富にございます。特にメンタル対応についてお困りの法人様から専門性の高さで高くご評価いただいておりますので、産業医の交代を含め、何かお困りやご不満がございましたら、無料のオンライン相談も受けつけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

【参考文献】

1.介護現場の労災対策と労災トラブル事例を介護専門弁護士が解説 – 弁護士法人おかげさま (kaigo-trouble.com)

2.000838058.pdf (mhlw.go.jp)

3.介護施設における労災防止 | 役立つサービス | 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 (roushikyo.or.jp)

4.産業医の選任の改善について | 運営法人向けの情報 | 【公式】全国有料老人ホーム協会(法人の方はこちら) (yurokyo.or.jp)

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