部下がうつ病になると上司の評価は下がるのか~労働災害の責任はどこにある?~

部下がうつ病になると上司の評価は下がるのか~労働災害の責任はどこにある?~_産業保健プラス 産業医監修の明日の解決策が見つかるメディア_メンタル対応に強い産業医紹介 LiFE Investors株式会社

この記事はこのような方に向けて書いています。

・部下がうつ病だと判明した方

・部下がうつ病を発症している可能性がある方

近年、身体的なケガや明確な病気がなくても、過度なストレスや長時間労働によって通常の業務が行えなくなる「メンタルヘルス不調」が広く認知されるようになりました。その代表的な疾患の一つである「うつ病」は、はっきりとした病名がつく正当な疾病であり、ただの「甘え」や「気の持ちよう」ではありません。
このような時代背景の中で、もし部下がうつ病と診断された場合、「周囲からパワハラや人間関係、過重労働など上司に責任があると見られてしまうのではないか」と不安を抱く管理職の方も少なくないでしょう。

この記事では、「部下がうつ病になったとき、上司の評価は実際のところ下がるのか」というテーマを掘り下げ、上司がとるべき行動や環境改善の方法、そしてその際に大きな助けとなる『産業医』の活用についてご紹介します。部下がうつ病を発症し、今後の状況に不安を感じている上司の方にとって、頼りになる専門家との連携方法をご覧いただければ幸いです。

ライフインベスターズでは、コミュニケーション能力や専門性など、書類や面接審査を通じて一定の基準を満たした厳選した産業医が所属しております。

大手法人様はもちろん、これから衛生委員会を立ち上げるスタートアップ・ベンチャー企業様への対応経験も豊富にございます。特にメンタル対応についてお困りの法人様から専門性の高さで高くご評価いただいておりますので、産業医の交代を含め、何かお困りやご不満がございましたら、無料のオンライン相談も受けつけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

目次

職場でうつ病になる原因は何か

うつ病になる原因は様々です。

1.業務によるストレス・プレッシャー

業務量が多すぎる、求められるクオリティが高すぎる、達成目標が高すぎるなど業務内容が原因であるケースがあり、これは職場で起こるうつ病の原因の中で一番多いパターンになります。真面目な性格、完璧主義であるほど自分を追い詰めてしまう傾向があり、うつ病も発症しやすくなります。

2.長時間労働

長時間労働により疲労が慢性化し、睡眠不足が続くと、心身のダメージが蓄積します。結果的に「見える形」としてうつ病が発症することも珍しくありません。に見える形で表れることになります。

3.上司からのハラスメント

セクハラ、パワハラなどのハラスメント行為は、直接的な精神的苦痛をもたらします。「ハラスメントを受けた」と当人が感じれば、それは原因要因となりえます。そのために上司は部下との関係性構築が必須になります。

4.職場の人間関係の悪化

「同僚に無視された」、「同僚に悪口を言われた」など職場の人間関係が原因でうつ病になるケースもあります。上司からのハラスメントと合わせた職場における対人関係がうつ病の原因である場合、適切な対応をしないと休職して十分に休養を取った後に復職しても人間を信用できなくなり、再度業務に支障をきたす可能性があります。

5.仕事以外の原因

家庭内でトラブルがあった、親しい人を亡くした、身体的な疾患が見つかり精神的に疲弊している、離婚したなど業務外の原因でうつ病を発症しているケースもあります。この場合、上司及び企業に責任はありませんので事実関係ははっきりさせておく必要があります。

6.職場のサポートシステムの欠如

職場におけるサポートシステムの不備や欠如も、うつ病の原因となり得ます。たとえば、メンタルヘルスに関する相談窓口がない、問題が発生したときに適切な対応がなされない、業務負担を軽減する制度が機能していないなど、職場環境そのものが従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす場合があります。企業としては、従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。

7.職場の文化と風土

職場の文化や風土も従業員のメンタルヘルスに大きな影響を与えます。たとえば、過度な競争を強いる文化、失敗を許さない風土、常に高い成果を求める圧力などがある場合、従業員は持続的なストレスにさらされることになります。また、オープンでないコミュニケーション文化が存在する職場では、問題を抱えた従業員がサポートを求めることが難しくなり、うつ病の発症リスクが高まります。

ここで産業医ができること
産業医は、これらの原因を多角的な視点から分析し、早期にストレス要因を発見するサポートを行います。彼らは職場環境を客観的に把握し、業務量の見直しや休暇制度改善など、具体的な改善策を示すことができます。

部下がうつ病になった責任は上司にあるのか

うつ病は複数の要因が絡み合って発症することが多く、一概に「上司が悪い」とは言えないのが現実です。しかし、上司には部下への「安全配慮義務」があり、部下のメンタルヘルス管理や異変の早期察知が求められます。

たとえ直接的なハラスメントがなかったとしても、環境改善や人員配置の工夫、ストレスチェックの実施など「安全配慮義務」を十分に果たせなかった場合、上司として一定の責任が問われる可能性はあります。

ここで産業医ができること
産業医は、上司が抱える「どのような配慮が必要か分からない」という悩みを解消できます。専門家として、発症原因の分析や、どのような改善措置を講じればよいかといった「具体的なロードマップ」を上司・人事部門へ提供します。これにより、上司はより適切な対応策を講じやすくなり、責任問題に対しても理にかなった対処が可能になります。

(補足)安全配慮義務とは

労働契約法第五条において

(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

労働契約法第五条

と定められています。これは簡単にいうと、使用者(企業)は労働者が安全かつ健康に働けるよう配慮する義務を負っているということです。メンタルヘルス対策や適切な職場環境整備は、これに該当する重要な取り組みです。

部下がうつ病になると上司の評価は下がるのか

結論から言うとケースバイケースです。また、そのケースによるとともに企業にもよります。この場で絶対にこうなるとは言えません。ただし、一般的には安全配慮義務があるとはいえパワハラなど直接的な原因になっていなければ評価が下がることはないでしょう。

しかし、評価が下がる可能性が低いとはいえ、上司として部下のメンタルヘルスに対する適切な対応は重要です。部下の健康を守ることは、上司の責務であり、結果的に職場全体のパフォーマンスや雰囲気にも影響を与えるからです。では、具体的に上司と職場が取るべき取り組みについて詳しく見ていきましょう。

ここで産業医ができること
産業医は、うつ病発症後のフォロー体制構築や、復職支援、メンタルヘルスに関する研修提供など、上司が行うべき対応策をサポートし、円滑な問題解決を後押しします。結果的に、上司としての評価低下リスクを下げ、逆に信頼性を高めることに役立ちます。

上司が取るべき具体的なアクション

  • 定期的な面談を通じて部下の状態をチェックすること
  • 職場環境の改善提案を行うこと
  • メンタルヘルスに関する教育を受けること
  • 必要に応じて社内外の専門家に相談する

ここで産業医ができること
産業医との契約・連携は、これらアクションをより効果的にします。たとえば、面談時に気を付けるポイント、業務量見直しの根拠、メンタル教育の内容構築、専門的なカウンセラー紹介など、産業医の専門知識は上司のアクションを実効性の高いものへと変える力があります。

うつ病予防のための職場環境の整備

職場でのうつ病予防には、ストレスを減らす環境づくりが重要です。定期的に職場のストレス要因を評価し、業務量の調整や人間関係の改善を図ることが求められます。また、リフレッシュできるスペースの設置や、フレックスタイムやリモートワークの導入によるワークライフバランスの推進も効果的です。これにより、従業員が安心して働ける環境が整います。

ここで産業医ができること
産業医は、職場特有のストレスを分析し、改善策を提案することもできます。長期的な健康戦略を立てることで、うつ病発症リスクを下げ、結果的に組織パフォーマンスの向上にもつなげられます。

メンタルヘルスに関する教育とトレーニング

上司と従業員向けのメンタルヘルス教育は、うつ病の予防に役立ちます。上司は部下のメンタルヘルスを早期に察知し、適切にサポートできる知識を身につける必要があります。従業員にはセルフケアやストレス管理の方法を教え、ピアサポートの体制を整えることで、職場全体で支え合う環境を作ります。さらに、定期的なフォローアップやスーパービジョンを行うことで、学んだスキルが実際に活用されるよう支援します。

ここで産業医ができること
産業医は、最新の知見に基づいた研修を設計・実施できます。教育プログラムを通じて、組織全体で問題に取り組む意識を高めることが可能です

まとめ

部下がうつ病になった場合、必ずしも上司の評価が下がるわけではありません。しかし、上司には安全配慮義務があり、メンタルヘルス不調を軽視すれば組織全体の信頼性や生産性に悪影響を及ぼします。ここで頼りになるのが、産業医の存在です。

産業医を活用すれば、うつ病発症後の適切な対応、復職支援、職場環境改善、メンタルヘルス教育など、あらゆる側面で専門的なサポートを受けることができます。結果として、上司としてのあなたが「困難な状況に的確な対応ができるリーダー」として評価される可能性は高まるでしょう。

部下のメンタルヘルス問題に直面したら、一人で抱え込まず、産業医との契約や関わりをぜひ検討してみてください。産業医は、法令知識、労働衛生の専門知識、そして中立的な視点で、組織にとって最適な健康戦略をサポートしてくれる心強いパートナーとなります。

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【参考文献】

労働契約法 | e-Gov 法令検索

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