この記事はこのような方に向けて書いています。
・ストレスチェック報告書の書き方が良く分からない方
・ストレスチェック報告書を書く際に記入漏れがあるかもしれないと不安な方
常時使用する労働者が50人以上である事業場には年に一回心理的な負担の程度を把握するための検査(通称ストレスチェック)を行うことが義務付けられていますが、初めてストレスチェック報告書を作成する方や、何度やってもややこしくて手順が分からなくなるという方はストレスチェック報告書の作成に不安を感じているのではないでしょうか。この記事ではそもそもストレスチェック制度とは何なのか、その作成手順などについて解説しています。
ライフインベスターではストレスチェックを行った後に簡単な集団分析とそれに基づいた職場改善の提案もしています。ストレスチェックをただのチェックにせずに職場の改善に繋げてみてはいかがでしょうか?もし興味があればライフインベスターにお問い合わせください。
ストレスチェック制度とは
ストレスチェック制度とは労働者のメンタルヘルスの不調を未然に防止すること、検査によって労働者自身に自身が感じているストレスについて気づかせること、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることなどを目的として平成27年12月1日から義務化された制度です。対象となる事業場は常時使用する労働者が50人以上である事業場で、50人未満の事業場については努力義務となっています。
労働安全衛生規則第五十二条の九では以下のように定められています。
(心理的な負担の程度を把握するための検査の実施方法) 第五十二条の九 事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次に掲げる事項について法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査(以下この節において「検査」という。)を行わなければならない。 一 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目 二 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目 三 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
労働安全衛生規則第五十二条の九
ストレスチェックの義務に付随して対象となる事業場には以下の内容も義務付けられています。
- 常時使用する労働者に対して、年1回、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施すること(前述)
- 検査の結果、一定の要件(高ストレスと判定とされた者など)に該当する労働者から申出があったときは、医師による面接指導を実施すること
- 事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じ就業上の措置(就業場所の変更、 作業の転換、労働時間の短縮等)を講じること
また、労働者を守るため、以下の事項が禁止されています。
- 面接指導の申出を理由として、労働者に不利益な取扱いを行うこと
- ストレスチェックを受けないこと、事業者へのストレスチェックの結果の提供に同意しないこと、高ストレス者として面接指導が必要と評価されたにもかかわらず面接指導を申し出ないことを理由とした不利益な取扱いや、面接指導の結果を理由とした解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位(役職)の変更等を行うこと
- ストレスチェックの結果を労働者本人の同意なく事業者に提供すること
ストレスチェック報告書の提出について
ストレスチェックを行った事業者は労働基準監督署にその旨を報告する必要があります。
労働安全衛生規則第五十二条の二十一で以下のように規定されています。
(検査及び面接指導結果の報告) 第五十二条の二十一 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第六号の三)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
労働安全衛生規則第五十二条の二十一
法律ではっきりと規定されていることですので、違反(未提出や虚偽の広告を行った場合)した場合は50万円以下の罰金が科されます。
年に一度の提出であれば問題ないので、提出時期は事業者が決めることができます。一般的には年度末に他の報告書と一緒に提出することが多いようです。
ストレスチェック報告書の作成手順
ここからはストレスチェック報告書の作成方法について説明します。
①ストレスチェック報告書のフォーマットを入手する
ストレスチェック報告書は以下の方法で入手できます。
1.労働基準監督署で直接受け取る
2.厚生労働省公式ホームページからファイルをダウンロードする
心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
*印刷に使用する用紙については、白色度80%以上の用紙を使用してください。また、印刷した用紙をコピーして使用しないでください。
3.「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を利用する
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス (mhlw.go.jp)
※オンライン申請はできません。インターネット上で作成した報告書を印刷して窓口か郵送で提出します。
誤入力・未入力に対するエラーメッセージの表示、書類の添付漏れに対する注意喚起、過去の保存データを用いた入力の簡素化等の入力支援機能があり、便利です。
事前申請や登録は不要なので、ぜひ活用してみてください。
4.オンライン申請を利用する
オンライン申請を利用すればわざわざストレスチェック報告書を入手する必要はありませんが、別途e-Gov電子申請アプリケーションのインストールとe-Govアカウント、GビズID、または他認証サービス(2020年12月現在、Microsoftアカウント)のうち、どれか1種類のアカウントが必要になります。
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②必要事項を記入する
ストレスチェック報告書に必要事項を記入します。
手書きの場合は黒のボールペンを使用し、濁音・半濁音は1マスに収めます。
記入漏れや記入ミスがあった場合は労働基準監督署から再提出を求められる可能性がありますので、ミスがないよう注意して作成しましょう。
【労働保険番号】
事業場の労働保険番号を記入します。
【対象年】
ストレスチェックの実施年を記入します。
【検査実施年月】
ストレスチェックの実施年月を記入します。
一年を通して順次検査を行った場合は報告日に最も近い検査実施年月を記入してください。
【事業の種類】
事業の種類を記入します。事業の種類は日本標準産業分類の「中分類」で確認してください。
総務省|統計基準等|日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名 (soumu.go.jp)
【事業場の名称】
事業所の名称を正確に記入します。各工場(営業所)ごとに作成してください。
【事業場の所在地】
事業所の住所を記入します。郵便番号はハイフンで区切ります。
【在籍労働者数】
検査実施年月の末日現在の労働者数を記入します。
労働者数については少しややこしいので順に説明します。
まず、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」の「常時50人以上使用する労働者」とは継続して雇用している労働者のことであり、例えば「週1回しか出勤しないような短時間パートやアルバイト」であっても継続して雇用しているなら数に含みます。
次に、ストレスチェックの実施義務のある労働者の条件は「期間の定めのない労働契約により使用される者(契約期間が1年以上の者、1年以上使用予定の者、1年以上引き続き使用されている者を含む)であること」 かつ「週所定労働時間数が、同種の業務に従事する通常労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること」です。また、2分の1以上の者は、実施することが望ましいです。例えば「週に1回しか出勤しないような短時間パートやアルバイト」は、ストレスチェックの実施義務はありません。
実施義務のない労働者に対し実施した場合は、ストレスチェック報告書の「在籍労働者数」(対象労働者)の欄には加えないでください。
【検査を実施した者】
該当する番号を記入します。
検査を実施した者が2名以上いるときは、 代表者について記入してください。
【検査を受けた労働者数】
報告対象期間内に検査を受けた労働者数の実人数を記入します。期間内に複数回検査を受けた労働者がいる場合も、1名として数えてください。
【面接指導を実施した医師】
該当する番号を記入します。
面接指導を受けた労働者が0人の場合は空欄にしてください。
【面接指導を受けた労働者数】
医師等が面接指導を受けることが必要と判断した者のうち、申出をして実際に医師による面接指導を受けた者の数を記入します。
【集団ごとの分析の実施の有無】
該当する番号を記入します。
【産業医の氏名と所属医療機関の名称及び所在地】
事業場で選任している産業医の氏名、所属医療機関の名称及び所在地を記入します。産業医が実施者ではない場合も産業医氏名の記入は必要です。なお、以前は署名または氏名の記入&押印が必要でしたが、令和2年8月から産業医の押印・署名(電子申請の場合は電子署名)が不要となりました。
【提出先の労働基準監督署長】
提出先である所轄の労働基準監督署の地区名を記入します。
【事業者職氏名】
代表者職氏名の記入と代表者印の押印をします。 なお、署名を氏名の記入と押印の代わりとすることも可能です。
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③提出する
完成したストレスチェック報告書は所轄の労働基準監督署に提出します。
該当する労働基準監督署は以下で確認してください。
都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
提出方法は3種類あります。
- 所轄の労働基準監督署の窓口に直接提出する。
- 所轄の労働基準監督署へ郵送する。
- 「手続情報表示|e-Gov電子申請」から電子申請をする。
提出時期は事業所の裁量にゆだねられますが、一年以上空白期間が空かないようにしましょう。
まとめ
ここまでストレスチェック制度についてとストレスチェック報告書の作成手順について解説しました。ストレスチェックは法律で定められた義務ではありますが、労働者のメンタルヘルスをすこやかに保ち、不調をきたす前に改善を図るために大切で有用な制度です。きちんと報告書を提出して法的義務を守りつつ、制度を上手に活用して労働者と会社の利益につなげましょう。
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【参考文献】
事業者ならびに産業保健スタッフの皆さまへ (mhlw.go.jp)
心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書|厚生労働省 (mhlw.go.jp)