【人事必読】保健衛生業に最適な産業医が兼ね備えるべき3つの特徴

この記事はこのような方に向けて書いています。

・ 産業医をこれから雇おうと考えている保健衛生業の担当者の方

・産業医が予定通り働いてくれずに困っている人事・労務担当者の方

病院、薬局、介護施設など自分が利用者として関わることも多い保健衛生関連施設。基本的に対人の業務が多く、特に病院、介護施設では身体的にも精神的にも負担が大きく、利用者から理不尽な目に遭わされることも少なくありません。

そのため、ストレスによってメンタルヘルス不調を起こす可能性も十分に考えられます。メンタルヘルス不調になった際に早期対処することも重要ですが、メンタルヘルス不調にならないようなシステム作りも重要です。

これらの対応には産業医の役割がより重要になります。

本記事では産業医選びでお悩みの人事・労務担当者に向けて産業医に対して何を求めるべきか、保健衛生業に向いている産業医とはどういうものか解説しています。また最後には記事のまとめとなるチェックリストも記載しています。

ぜひ、産業医を契約中の方はその産業医が本記事で解説した特徴を持っているか、産業医をこれから契約する方は産業医を選ぶにあたって何に注目すればいいのかをこの機会に確認してみてはいかがでしょうか。

目次

保健衛生業とは

総務省が公開している業種分類において保健衛生業とは保健所,健康相談施設,検疫所(動物検疫所,植物防疫所を除く)など保健衛生に関するサービスを提供する業種を指します。これに加え、労働基準法などにおいてはこれらに加え、病院や診療所、産院、薬局、浴場業などを含みます。

法定労働時間は労働基準法により原則「週40時間」「1日8時間」が上限と規定されていますが、特例措置として保健衛生業は「週44時間」「1日8時間」までの労働が認められています

*ただし企業全体ではなく、工場、支店、営業所等の個々の事業場単位で常時10人未満の労働者を使用している場合に限る

産業医を選定する際の注意点

労働安全衛生規則が改正されたことで(平成29年4月1日施行)、法人の代表者(病院長等)が産業医等を選任することは禁止になっています。これは、病院経営と職員の健康管理の間に利益の衝突が生じる可能性があるためです。

保健衛生業では法人の代表者を医師が務めているケースも多いため、産業医を選定する際は先述の点に注意する必要があります。

保健衛生業の労働災害

動作の反動災害・腰痛災害

前屈や中腰姿勢での要介護者の抱え上げ等、動作の反動や無理な動作による災害が介護者のサポート作業などで発生しています。スライディングボードなどの福祉器具の活用や作業前のストレッチ・腰痛予防体操の導入などが予防のポイントとなりますが、導入費用の問題や、多忙によりストレッチの余裕がないなどの問題のほか、そもそもそのような体に負担のかかる姿勢で長時間作業をすることからは逃れられないのでこれらの災害は多く発生してしまうのが実情です。

転倒災害、墜落・転落災害

滑り、つまずき、踏み外しなどが典型的な発生パターンです。両手荷物持ちや足元が暗いなどのちょっとした原因で発生します。通路などの段差、突起物、凹凸、継ぎ目の解消、危険の「見える化」、4S(整理・整頓・清掃・清潔)の徹底が予防のポイントです。

違法な時間外労働

直接的な労働災害ではありませんが、違法な時間外労働も問題になっています。

厚生労働省の発表で2022年度に医療機関や社会福祉施設などの「保健衛生業」の1,396事業場で何らかの違法な時間外労働の実態を確認し、是正や改善に向けた指導を行ったことが明らかになりました。36協定を締結せず従事者に時間外労働を行わせるなどの違法な時間外労働が1,396事業場で確認され、時間外・休日労働が最も長い人を確認したところ、162事業場で月100時間を超えていたことも分かっています。保健衛生業では先述の労働時間の特例措置を見ても分かる通り、労働時間が長くなりやすい傾向にあります。長時間労働は労働災害の実害にもつながりかねません。

メンタルヘルスの問題

施設利用者の方がストレスにより職員に辛く当たってしまったり、手をあげたり、施設利用者のご家族から理不尽なクレームを受けたりといったストレスや、夜勤やオンコールなどの生活リズムの乱れに起因するホルモンバランスの乱れが原因となり、うつ病などメンタルヘルスに不調をきたすことがあります。

事業所はこれらの問題が起こり得る状況へのリスクアセスメントを行い、職員の労働環境の改善、メンタルヘルスケアの強化、ハラスメント防止策の実施など、多角的なアプローチが求められています。

保健衛生業に向いている産業医

産業医に必要な知識を備えていることは前提として、保健衛生業に向いている産業医の特徴を解説します。

1.経営陣との中立的な関係

施設の経営陣と深い関わりがあると、労働者の健康管理と事業経営上の利益が一致しない場合に経営陣の意向を最優先して産業医としての職務が適切に遂行されないおそれがあります。産業医は経営陣の意見を踏まえつつも、第三者としての立場を保ち、中立的な判断を下すことが重要です。また時には、経営陣に対しても諫言ができることが必要になります。

施設としては意向に忠実に従ってもらえる方がいいと思われるかもしれませんが、産業医が中立な立場を守り、不適切な人事などを防ぐことは結果的に不要なリスクを回避することにつながるので、経営側にもメリットがあると言えるでしょう。

2.コミュニケーション能力があること

施設職員の方がメンタルヘルスに問題を抱えている場合、さらにメンタルに余計な負担をかけないように産業医は特に注意を払う必要があります。

コミュニケーション能力は効率的に職員の方から事情を聞き出し、望んでいることを適切に把握するために必要不可欠な能力になります。

3.企業文化をより深く理解しようとする

保健衛生業は法定労働時間に特例措置が適用されるなど一般的な職場と異なる部分が多々あります。他の業種と同じように対応するのではなく、保健衛生業と、各企業の特徴を深く理解した上で業務に当たらないと適切な対応は取れません。

また、保健衛生業は対人関係のストレスが原因のメンタルヘルスの不調も多いので、その対応の経験が豊富だとより良いでしょう。

総括:保健衛生業における産業医

保健衛生業で求められる産業医の特徴について考察した記事はいかがでしたでしょうか?自分の職場の産業医は、今回の記事で述べたような特徴をしっかり備えていましたか?

保健衛生業における産業医の役割は多岐に渡ります。そして職場の健康と安全の環境を向上させるために行動することが重要となります。職場にマッチした産業医を選ぶ事ができると、労働災害のリスクを低減させることだけでなく、労働環境の質の向上と従業員の意識改革につながり、結果的に生産性の向上にも寄与するのです。

産業医を選ぶ際には、その経験、知識、技術、およびコミュニケーション能力を総合的に評価していくことが重要です。今回挙げた特徴も有効活用してあなたの職場にあった産業医を選定できれば幸いです。

最後に、保健衛生業の企業が採用すべき産業医の基準をチェックリストにまとめました。

あなたの職場の産業医は大丈夫??保健衛生業に向いている産業医チェックリスト

【必須条件】

□ 現場への理解 :各事業所の現状を理解し、適切なコミュニケーションがとれるか

□ 知識や経験の有無 :法律や危険物の管理などに精通しているか

□ 説明の明瞭さ:専門用語を避け、従業員にわかりやすい用語を使えるか

□ 傾聴力:経験や知識だけを主張せず、現場の状況を踏まえながら一緒に考えてくれるか

□ 迅速な連絡対応:問い合わせに対するレスポンスが迅速か

【副次条件】

□ 施設経営陣との関わりがないか:施設の利益のためではなく、従業員の立場に立てるか

□メンタルヘルスの対応経験が豊富:対人ストレスが原因のメンタルヘルス不調の対応経験が豊富か

これらは保健衛生業の企業が雇うべき産業医の条件の一例です。そして、この項目の中で、特に大事になることは『現場にあった提案をすることのできる産業医』です。現在の産業医がこの条件を満たさない場合は、変更を検討することも一つの選択肢です。

「保健衛生業に向いている産業医」についての記事はいかかでしたでしょうか?

ライフインベスターズでは、コミュニケーション能力や専門性など、書類や面接審査を通じて一定の基準を満たした厳選した産業医が所属しております。

大手法人様はもちろん、これから衛生委員会を立ち上げるスタートアップ・ベンチャー企業様への対応経験も豊富にございます。特にメンタル対応についてお困りの法人様から専門性の高さで高くご評価いただいておりますので、産業医の交代を含め、何かお困りやご不満がございましたら、無料のオンライン相談も受けつけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

【参考文献】

000290735.pdf (soumu.go.jp)

特例対象事業場 :法定労働時間 | 徳島労働局 (mhlw.go.jp)

shidokansa_009.pdf (city.shibuya.tokyo.jp)

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