この記事はこのような課題をお持ちの方に向けて書いています。
・職場のメンタルヘルス対策を始めたいが、何から始めればよいか分からない
・産業医が具体的にどのような役割を果たすのかを知りたい
・メンタルヘルス不調への対応に不安を感じている
「最近、部下の様子がなんだかおかしい」「急に欠勤が増えた社員がいる」──そんな場面に直面したことはありませんか?
現代の職場では、心の健康=メンタルヘルスへの配慮が欠かせない時代となっています。メンタルヘルスの問題は、もはや他人事ではないのです。
しかしながら、「何から始めればいいのか分からない」「産業医はいるけれど、うまく活用できていない」という声も多く聞かれます。
この記事では、職場におけるメンタルヘルス対策の第一歩として、基礎知識を整理したうえで、産業医の役割や活用のポイントをわかりやすく解説します。
人事労務担当者として押さえておきたい実践的な内容をお届けします。
メンタルヘルスとは?基礎知識をおさらい
「メンタルヘルス」とは、心の健康状態を意味します。単に“うつ病”や“不調”といった状態だけでなく、ストレスに適切に対応できているか、職場の人間関係や働き方に問題がないかといった広い意味合いを持ちます。
世界保健機関(WHO)では、「健康とは、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に病気でないことではない」と定義されており、メンタルヘルスは健康の重要な柱のひとつです。
近年は「働き方改革」や「健康経営」の観点からも、心の健康に対する取り組みが企業に求められるようになっています。
職場でのメンタルヘルス対策を考えるうえで、次の3つの分類を理解しておくと良いでしょう。
1. 一次予防(未然防止)
心の不調を防ぐための取り組みです。具体的には、ストレスチェックの実施、職場環境の改善、メンタルヘルス教育などが該当します。
2. 二次予防(早期発見・早期対応)
メンタルヘルスの問題が表面化した段階で、早期に気づき、適切な対応を行うことです。上司や人事による面談、産業医との連携が求められます。
3. 三次予防(再発防止・職場復帰支援)
一度不調をきたした従業員の職場復帰支援や、再発防止のためのフォロー体制の構築などをいいます。復職前面談や段階的な復職プランの作成などが含まれます。
メンタルヘルス対策は個人任せにしないことが大切です。
「本人が弱いから」「自己管理ができていないから」といった誤解は、いまだに根強く残っています。しかし、メンタルヘルスの問題は、誰にでも起こり得る職場全体の課題であり、決して個人だけの責任ではありません。
そのため、人事労務担当者や管理職、経営層が正しい知識を持ち、組織として取り組む姿勢が求められます。
職場におけるメンタルヘルス不調の現状と課題
厚生労働省の調査によれば、職場でメンタルヘルス不調を理由とした長期休職者や離職者は年々増加傾向にあります。背景には、以下のような要因が挙げられます。
- 長時間労働や過重な業務
- 人間関係のストレス
- 働き方の多様化による孤立感
- 経営層・管理職の理解不足
これらは組織全体の生産性低下にもつながりかねません。だからこそ、早期の気づきと組織的な対策が求められます。
産業医の役割とは?
産業医とは、労働者の健康管理を専門とする医師のことです。 病院などに勤務している医師は病気や怪我の診断や治療を行いますが、産業医は診断や治療は行わず労働安全衛生のサポートを行います。
企業は、常時50人以上の従業員を雇用している場合、労働安全衛生法に基づき産業医を選任する義務があります。産業医を選任しなければならない理由ができた時から14日以内に選任しなければなりません。
産業医の主な役割には以下のようなものがあります。
- 健康診断の結果に基づく指導
- 長時間労働者への面談指導
- 職場巡視による労働環境の把握
- メンタルヘルス不調者への対応・アドバイス
- 会社・人事への助言(就業制限の必要性など)
つまり、従業員の心身の健康を「医師」の立場から支援する、職場のパートナーとも言える存在です。
メンタルヘルス対策における産業医の活用ポイント
メンタルヘルス対策を効果的に行うためには、産業医を制度として配置すだけでなく、積極的に関与してもらう姿勢が必要です。
特に、人事労務担当者が主体となって産業医との協働体制を築くことが、不調の早期発見・早期対応につながります。
ここでは産業医を活用する際のポイントを紹介します。
1. 相談しやすい関係性づくり
産業医との関係構築は、すべての土台になります。
形式的な「名義上の産業医」ではなく、実際に相談・連携できるパートナーとしての関係を目指しましょう。
- 定期的なミーティングの設定
月1回程度、人事との情報交換の時間を確保することで、社内の状況共有や、対応に悩むケースの相談が可能になります。
- 現場に顔を出してもらう
職場巡視やイベントなどに産業医を招くことで、従業員にとっても身近な存在になります。
- オンライン面談の導入
リモートワーク下でも、気軽に相談できる環境づくりが効果的です。
従業員側も「この先生なら話してみようかな」と思える関係性をつくることが、不調の早期発見につながります。
2. ストレスチェックの結果を共有し、分析を依頼
ストレスチェックは、実施するだけでは意味がありません。 その結果をどう活用するかが、メンタルヘルス対策の鍵を握ります。
ストレスチェック後の集団分析を産業医に依頼すれば、職場の課題が客観的に見えてきます。
- 集団分析の依頼
部門ごとや職種別に傾向を可視化することで、一部部署で高ストレスが集中しているなどといった組織的な課題が明らかになります。
- 所見に基づくアドバイス
産業医は医学的な視点で「どこにリスクがあるか」「どんな対応が必要か」を客観的に助言できます。
- 経営層への説明資料として活用
産業医の見解は、経営判断の根拠としても有効です。
結果を「評価」や「責任追及」に使うのではなく、「改善のための材料」として前向きに活用することが重要です。
3. 面談や復職支援に積極的に関与してもらう
メンタル不調を抱えた従業員への対応には、デリケートな配慮と専門的判断が求められます。 産業医は、本人の状態を正確に評価し、適切な措置を講じる役割を担っています。
- 高ストレス者への面談
ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員には、産業医による面談が推奨されます。ここでのアドバイスは、本人の早期回復や、医療機関への受診勧奨にもつながります。
- 休職者の復職判定
復職のタイミングや業務内容の調整は、人事だけでは判断が難しいものです。産業医は意見書や面談記録を通して、無理のない職場復帰を支援します。
- 上司・人事との橋渡し
産業医は第三者的な立場から、当事者・上司・人事の間に立ち、冷静なコミュニケーションを促すことができます。
このように、産業医の関与は一時的な対応にとどまらず、長期的な職場定着や再発防止にも大きな効果を発揮します。
4. 職場改善へのフィードバックをもらう
メンタルヘルス対策を「個人対応」に終わらせないために、産業医からのフィードバックを職場改善に活かすことも重要です。
- 労働環境に対するアドバイス
「空調や照明が不適切」「昼食の時間が取れていない」「過重労働傾向がある部署がある」など、健康管理の観点から見える課題を報告できます。
産業医が関与したケースの傾向を分析することで、組織全体の働き方やマネジメントの課題が見えてくる場合もあります。単なる面談対応で終わらせず、職場全体の改善に結びつけていく意識が求められています。
メンタルヘルス対策を進めるために、人事ができること
人事担当者として、以下のような取り組みを心がけることが大切です。
- 産業医との連携体制の構築
- 管理職へのメンタルヘルス教育の実施
- ストレスチェックやアンケートによる職場の定期診断
- 従業員が安心して相談できる窓口の整備
メンタルヘルス対策は一度で完結するものではありません。継続的な取り組みこそが、働きやすい職場づくりの鍵となります。

まとめ
職場におけるメンタルヘルス対策は、従業員の心の健康を守るだけでなく、企業全体のパフォーマンスを高めるためにも欠かせない取り組みです。
その第一歩として、産業医の役割を正しく理解し、日頃から積極的に活用することが、人事労務担当者としての重要な使命といえるでしょう。
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