この記事はこのような方に向けて書いています。
・産業医の選任をしたいが事務手続きが良く分からない方
・産業医の選任の届け出に必要な書類が揃っているか不安な方
産業医の選任が義務付けられている事業所では、選任時にその旨の届け出をしなければなりません。届け出をしたつもりだったのに、手続きが不十分で受理されていなかったという状況になってしまうのではないかと不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では産業医選任時の届け出に必要な書類や、申請先、方法などについて解説しています。これから選任の届け出をする、まだ選任していないが今後のために流れを把握しておきたい、という方は是非参考になさってください。
また、産業医選任はしようとしているけど不安な方や、これから選任をしようという方がいればぜひ一度ライフインベスターにお声がけください。問い合わせはこちらより
概要
産業医の選任が義務付けられているのは常時50人以上の労働者を使用する事業場です。
これらの事業場は産業医の選任時(初めて選任した時と変更した時)に所轄の労働基準監督署に産業医選任報告をしなければなりません。詳しくは順に解説します。
いつ?
産業医選任報告を行わなければならないのは、
- 産業医を選任するべき理由が発生した日から14日以内
- 産業医を変更する理由が発生した14日以内
です。この間に選任から報告まですべて終わらせる必要があります。
2の場合は前任の産業医の辞任または解任についても併せて報告しましょう。
産業医を解任することが決定しているのであれば、産業医の不在期間が短くなるよう後任の産業医の選定の準備を早めに始めることをおすすめします。
これらは労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第十三条において以下のように規定されています。
一 産業医を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること。
労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第十三条
4 事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。
「メンタル対応に強い産業医のメリットとは?」
▶︎▶︎▶︎ライフインベスターで詳細を確認してみる
どこに?
産業医選任報告は所轄の労働基準監督署に提出します。
提出先の労働基準監督署は以下で確認してください。
都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
提出方法は3種類あります。
1.所轄の労働基準監督署の窓口に直接提出する。
2.所轄の労働基準監督署へ郵送する。
3.「手続情報表示|e-Gov電子申請」から電子申請をする。
何を?
産業医選任報告の際に提出するものは以下の通りです。
1.産業医の資格証明書(産業医認定証または労働衛生コンサルタント登録証)のコピー
2.医師免許証のコピー
3.産業医選任届
4.提出代行に関する証明書(社会保険労務士または社会保険労務士法人が申請書を作成し、提出代行を行う場合)
まずはこれらの書類をそろえましょう。
産業医選任届の入手方法
産業医選任届は以下の方法で入手できます。
1.労働基準監督署で直接受け取る
2.厚生労働省公式ホームページからファイルをダウンロードする
総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
3.「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を利用する
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス (mhlw.go.jp)
※オンライン申請はできません。インターネット上で作成した報告書を印刷して窓口か郵送で提出します。
誤入力・未入力に対するエラーメッセージの表示、書類の添付漏れに対する注意喚起、過去の保存データを用いた入力の簡素化等の入力支援機能があり、便利です。
事前申請や登録は不要なので、ぜひ活用してみてください。
4.オンライン申請を利用する
オンライン申請を利用すればわざわざ産業医選任届を入手する必要はありませんが、別途e-Gov電子申請アプリケーションのインストールとe-Govアカウント、GビズID、または他認証サービス(2020年12月現在、Microsoftアカウント)のうち、どれか1種類のアカウントが必要になります。
産業医の資格証明書のコピーと医師免許証のコピーは早めに産業医から受け取っておきましょう。
「メンタル対応に強い産業医のメリットとは?」
▶︎▶︎▶︎ライフインベスターで詳細を確認してみる
産業医選任届の書き方とは?
産業医選任届に必要事項を記入する際は手書きの場合は黒のボールペンを使用し、濁音・半濁音は1マスに収めます。
記入漏れや記入ミスがあった場合は労働基準監督署から再提出を求められる可能性がありますので、ミスがないよう注意して作成しましょう。
【ページ数】
選任した産業医が1人の場合、ページ数には「1/1」と記入します。
選任した産業医が2人いる場合は、1枚目に「1/2」、2枚目に「2/2」と記入します。
数字は右詰めで記入してください。
【労働保険番号】
事業場の労働保険番号を記入します。
【事業場の名称】
事業所の名称を正確に記入します。
【事業所の所在地】
事業所の住所を記入します。郵便番号はハイフンで区切ります。
【事業の種類】
事業の種類を記入します。縦並びなので記入忘れに注意してください。
事業の種類は日本標準産業分類の「中分類」で確認してください。
総務省|統計基準等|日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名 (soumu.go.jp)
【衛生管理者の場合】
今回は産業医の選任届なので何も記入しません。
【電話番号】
ハイフンも含めた事業所の電話番号を左詰めで記入します。
【労働者数】
常時雇用する従業員数を記入します。
「常時雇用する従業員」とは、正社員、パート、アルバイトなどの名称にかかわらず、以下 の①または②のいずれかに該当する従業員を指します。
①期間の定めなく雇用されている者
②過去 1 年以上の期間について引き続き雇用されている者または雇い入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者(一定の期間を定めて雇用されている者または日々雇用される者であってその雇用契約期間が反復更新されて、事実上①と同等と認められる者)
引用:東京労働局雇用環境・均等部
※出向等で該当の事業場での就業をしていない者は含めません。
【フリガナ・被選任者氏名】
選任した産業医の氏名・フリガナを記入します。姓と名の間は1マス空けてください。
※濁点、半濁点の場合は1マスに「ガ」「パ」と記入します。
【選任年月日】
産業医の選任年月日を記入します。7:平成 9:令和として記入します。
数字が1桁の場合、1マス目に0を記入する必要はありません。右詰めで記入してください。
令和1年6月28日の場合は、「9□1□628」です。
【生年月日】
産業医の生年月日を記入します。
1:明治 3:大正 5:昭和 7:平成 9:令和として記入します。
選任年月日の書き方を参考にしてください。
【選任種別】
産業医の「5」と記入します。
【専属の別】
選任した産業医が専属である場合は1、非専属である場合は2と記入します。他の事業場に勤務している場合はその勤務先も記載してください。
【専任の別】
選任した産業医が専任である場合は1、兼職している場合は2と記入します。他の業務を兼職している場合はその業務も記載してください。
【安全管理者又は衛生管理者の場合は担当すべき職務・総括安全衛生管理者又は安全管理者の場合は経歴の概要】
今回は関係ないので記入しません。
【産業医の医籍番号】
医師免許証に記載されている医籍番号を右詰めで記入します。
種別は、日本医師会認定産業医の場合は「1」、労働衛生コンサルタントの場合は「3」です。詳しくは以下の表をご参照ください。
【参考事項】
初めて産業医を選任した場合は「新規選任」、産業医が開業している場合は「開業医」
と記入します。産業医の専門科名も記入します。
【届出日・届出先名・事業者職氏名・捺印】
届出日、届出先(所轄の労働基準監督署)、会社の代表者の名前を記入し、捺印します。
代表者の署名であれば押印はなくても問題ありません。
届出先の労働基準監督署は以下で確認してください。
都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
*産業医を変更した場合
産業医を変更している場合は前任の産業医のフリガナ、氏名、辞任、解任等の年月日を記入します。注意事項は上記の説明も参照してください。
まとめ
ここまで、産業医選任報告の方法についてテーマごとに解説しました。必要書類をそろえるのは若干手間ではありますが、煩雑ではありませんし、電子化も進んで申請がより楽になりました。オンラインツールなどもうまく活用して速やかに届けてを済ませてしまいましょう。確認の際は再度本記事をご活用ください。
ライフインベスターズでは、コミュニケーション能力や専門性など、書類や面接審査を通じて一定の基準を満たした厳選した産業医が所属しております。
大手法人様はもちろん、これから衛生委員会を立ち上げるスタートアップ・ベンチャー企業様への対応経験も豊富にございます。特にメンタル対応についてお困りの法人様から専門性の高さで高くご評価いただいておりますので、産業医の交代を含め、何かお困りやご不満がございましたら、無料のオンライン相談も受けつけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
【参考文献】
産業医選任届の記入例は以下の総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式|厚生労働省 (mhlw.go.jp)の安全管理者の記載例をもとに作成しました。