この記事はこのようなお悩みをお持ちの方に向けて書いています。
・産業医選任理由がクリニックと会社の距離に限定されている
・コンプライアンスを強化したい
・現在の産業医契約に「このままで大丈夫?」と不安を感じている
「従業員が50人を超えたから、知り合いの開業医に頼んで“とりあえず”産業医を選任した」
「産業医は毎月来ているはずだが、誰も顔を見たことがない」
こんな状態、あなたの会社にも心当たりはありませんか?
小規模企業や、長年同じ医師にお願いしている企業によく見られるこうした実態。
実はこれ、労働安全衛生法違反に該当する可能性がある「名義貸し産業医」の状態かもしれません。
かつては黙認されていたこのような“形式的な体制”も、昨今の法令遵守・メンタルヘルス重視の流れの中では通用しなくなってきています。
この記事では、「名義貸し」がもたらす法的な罰則と企業のリスク、そして健全な体制へ切り替えるための具体的な方法を解説します。
そもそも「産業医の名義貸し」って何?

「名義貸し産業医」とは、書類上は選任されているが、実態として業務をしていない医師を指します。
以下のような状態に心当たりがあれば、名義貸しとみなされる可能性が高いです。
- 月1回(もしくは2ヶ月に1回)の職場巡視が一度も行われていない
- 衛生委員会に医師本人が参加していない(代理人や欠席が常態化)
- 健康診断後の就業判定を医師本人がしていない(事務担当者まかせ)
- 社員との面談や指導を行った記録がない
つまり、「名前だけ置いてある」「来ていることになっているが、実態がない」状態は、
見かけ上は合法でも、実質的には労働安全衛生法に違反しているということです。
名義貸しが発覚した際の罰則と行政指導
「名義貸し」は、単なる手抜きでは済まされません。
法律違反として、以下のような行政処分や罰則の対象となります。
■ 50万円以下の罰金
労働安全衛生法では、産業医の選任義務、職場巡視義務、面談指導の実施義務などが明記されています。
これらを怠った場合、企業に50万円以下の罰金が科される可能性があります。
(産業医等) 第十三条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項、第十三条第一項、…(以下略)
■ 労働基準監督署からの是正勧告
労働基準監督署による立ち入り調査(いわゆる「臨検」)の際、巡視記録や衛生委員会の議事録、面談実施記録などが確認されます。
これらが整備されていない場合、是正勧告が出され、従わなければ企業名が公表されるリスクもあります。
また、労災との関連が疑われる場合には、より厳しい調査や指導が行われることもあります。
罰金以上に怖い「3つの重大リスク」
行政処分よりも企業にとって深刻なのは、次の3つのリスクです。
①安全配慮義務違反による損害賠償請求
社員が過労やストレスによって心身に不調をきたした場合、企業には安全配慮義務違反の責任が問われます。
その際、「名義貸し産業医だった=実質的な健康管理を放棄していた」とみなされると、数千万円〜数億円規模の損害賠償が命じられる可能性もあります。
実際、過労死や自殺に至るケースでは、「企業がメンタル不調に気づきながら、適切な医師対応を怠っていた」として、経営者個人の責任が追及された事例もあります。
② IPO審査でのコンプライアンス違反とみなされる
スタートアップ・ベンチャー企業がIPOを目指す場合、労務・安全衛生体制はコンプライアンス審査の重要項目になります。
「産業医は選任済」と報告しながら、実態は名義貸しだった場合、審査での信用失墜、上場延期・中止といった致命的な結果を招くこともあります。
最近では投資家・証券会社側も「人的資本経営」に敏感になっており、安全配慮体制の形骸化は確実にリスクと見なされます。
③ 従業員の不信感と離職リスク
「産業医なんて建前で、実際は何もしてくれない」
そんな声は、社内に静かに広がっていきます。
とくに若手や中途入社社員は、「健康管理に無関心な会社」と感じれば、早期離職につながることもあるでしょう。
本来守れるはずだった人材を、産業医の形骸化によって失うのは、大きな損失です。
なぜ「名義貸し」が起きてしまうのか?
背景にあるのは、企業側と医師側のそれぞれの認識のズレです。
企業「とりあえず書類上クリアできればいい」
医師「産業医は専門外だが、頼まれたから名前を貸している」
このような“なあなあ”の関係は、かつては黙認されてきました。
しかし現在は、労働行政の監視強化や社員の権利意識の高まりにより、そうした関係はもはや通用しなくなっています。
今のままでは、「善意のつもりが、違法行為」になってしまう恐れもあるのです。
「ちゃんと働く産業医」へスムーズに切り替える方法
「でも、今の先生に失礼じゃないか…」「変えるのは大変そう」
そう感じる方も多いかもしれません。
しかし、名義貸し状態を放置するほうが、はるかに大きなリスクを背負うことになります。
以下のステップで、穏やかかつ現実的に体制を見直すことが可能です。
ステップ①:契約内容を確認する
まずは、今の産業医との契約書を確認しましょう。
多くの場合、1〜3ヶ月前の通知で契約解除が可能です。
違約金や条件なども明記されているはずなので、事前に把握することが大切です。
ステップ②:「体制変更」を理由に切り出す
契約終了の際は、「先生に問題がある」とは言わず、以下のような表現を使うことで、円満に話を進めることができます。
「IPO準備のため、安全衛生体制の強化を行っています」
「リモート対応を含めた運用が必要になりました」
「衛生委員会や就業判定の対応が必要になりました」
目的は「人を責めること」ではなく、「体制を健全化すること」ですので、伝え方を工夫しましょう。
ステップ③:実務に強い紹介会社を活用する
単に医師を紹介するだけでなく、以下をサポートしてくれる会社を選びましょう。
- 衛生委員会の立ち上げ・運営
- 巡視やストレスチェック後の面談対応
- 書類整備(巡視報告書、面談記録など)
これらを一貫して支援できる紹介会社なら、スムーズかつ安心して切り替えが可能です。

まとめ:名義貸しからの脱却は、未来への投資
名義貸しをやめることは、ただの“ルール遵守”ではありません。
それは、社員の健康を本気で守る姿勢を示し、企業価値を高める第一歩です。
適切な産業医と連携し、「相談しやすい」「現場を理解してくれる」体制をつくることは、離職の予防・生産性向上・信頼の獲得につながる、経営的にも理にかなった判断なのです。
名義貸しと決別し、「ちゃんと働く産業医」を選ぶために
ここまで読み進めていただいた方の多くが、
「うちの産業医、思えば何もしていないかも…」
「名義貸し状態って、意外と怖い」
「そろそろ本気で見直した方が良いのでは?」
と感じられているのではないでしょうか。
名義貸しのまま時間が過ぎるほど、企業は コンプライアンスリスク、メンタル不調、離職率増加、そして訴訟リスクにさらされ続けます。
しかし同時に、きちんと機能する産業医を選ぶことで会社は確実に変わります。
- 社員が安心して相談できる
- 面談クオリティが上がり、休職を未然に防げる
- IPOに向けたガバナンス体制が一気に強化
- 人事や経営層の判断が早くなる
名義貸しをやめることは、単なる「罰を避けるための対応」ではなく、会社の未来に投資し直すという意思表明でもあるのです。
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ライフインベスターズは名義貸しや形式的な選任の文化を根本から変えたいと考えています。
当社が紹介する産業医は、書類上だけの存在ではない、 “実働型”の医師です。
- 月次巡視・衛生委員会・面談を確実に実施
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【参考文献】

