この記事はこのような方に向けて書いています。
・自分が受けている行為がハラスメントに該当するか確認したい方
・社内研修やガイドラインを作成するため、ハラスメントに関する知識を深めたい方
最近、職場や日常生活の中で「ハラスメント」という言葉を耳にする機会が増えています。ハラスメントとは、他者に対して意図的または無意識に嫌がらせや不当な扱いをする行為を指し、その範囲は非常に広がっています。職場でのパワーハラスメントやセクシャルハラスメントだけでなく、家庭や学校、公共の場でも様々な形のハラスメントが問題となっています。
しかし、ハラスメントの定義は一つだけではなく、状況や相手によって異なる側面があります。本記事では、ハラスメントの基本的な定義、具体的な種類について詳しく解説し、ハラスメントに悩んでいる方や予防策を考える方々に向けて、適切な知識をお届けします。
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ハラスメントとは何か?
ハラスメントとは、相手に対して不快感や苦痛を与える行為や言動のことを指します。意図的であれ無意識であれ、相手が嫌がっていたらハラスメントになります。日本語で言うところの「嫌がらせ」「いじめ」にあたるものです。
職場や学校、家庭など、さまざまな場面で起こる可能性があり、被害者に心理的なストレスやトラウマを引き起こすこともあります。
この記事では、職場で起こり得るハラスメントに焦点を当てて、その種類や対策について詳しく解説していきます。
ハラスメントの種類
ハラスメントには、いくつかの異なる種類があり、それぞれ特徴があります。ここでは、職場でよく見られる主なハラスメントの一つ、パワーハラスメント(パワハラ)について詳しく説明します。
パワーハラスメント(パワハラ)
パワーハラスメントは、職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動であって、
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものを指します。
具体的には以下のようなケースがあります。
【身体的な攻撃】
・上司が部下に対して殴る、蹴る、物を投げるなどの暴力行為を行う。
・会議中に突然大声で怒鳴りつけ、恐怖心を与える。
【精神的な攻撃】
・長時間にわたって無視をする、無意味に叱責を繰り返す。
・他の従業員の前で屈辱的な言葉を浴びせる。
・部下の失敗を執拗に責め立て、精神的なダメージを与える。
【人間関係からの切り離し】
・部下をチームから意図的に孤立させ、情報を共有しない。
・会議やコミュニケーションの場から意図的に排除する。
【過大な要求】
・過剰な量の仕事を一人に押し付け、明らかに達成不可能な期限を課す。
・仕事以外の雑用(私用の買い物や家事)を命じる。
【過小な要求】
・本来の能力や職責に見合わない単純な作業ばかりを命じ、やる気を奪う。
・経験やスキルを無視して、実質的に意味のない仕事を与える。
【個の侵害】
・プライベートな事柄(家族構成や病気の治療など)に対して過剰に干渉し、個人情報を暴露する。
・休日の過ごし方や恋愛関係について批判したり、命令したりする。
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。重要なのは、その行為が相手の労働環境にどの程度影響を与えているかです。
パワハラというと、「上司から部下」への行為が一般的にイメージされますが、逆に部下が上司に対して嫌がらせを行う「逆パワハラ」も存在します。
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セクシャルハラスメント(セクハラ)
セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場において労働者の意に反する「性的な言動」が原因で労働者が不利益を受けたり、就業環境が悪化することを指します。セクハラは、主に次の2つのタイプに分かれます。
【対価型セクシュアルハラスメント】
労働者が、性的な言動への対応によって、仕事において不利益を被る場合を指します。
具体例:
・ 雇用者が部下に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇すること。
・ 出張中の車中で上司が部下の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、その労働者について不利益な配置転換をすること。
・ 事業主が日頃から労働者に関わる性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、その労働者を降格すること。
【環境型セクシュアルハラスメント】
職場での性的な言動が原因で、労働者の就業環境が不快になり、働きにくくなる場合を指します。
具体例:
・職場で上司が部下の腰、胸等に度々触ったため、その労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
・ 同僚が取引先で労働者に関わる性的なうわさを流したため、 その労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
・ 労働者が抗議をしているにも関わらず、同僚が業務に使用するパソコンでアダルトサイ トを閲覧しているため、それを見た労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。
被害の対象者に性別や性的指向、性自認は関係ありませんので、同性同士での言動でも、相手の意に反する言動であれば、セクハラと認定されるケースがあります。
モラルハラスメント(モラハラ)
モラルハラスメントは身体的なダメージではなく、言葉や態度によって継続的に相手に精神的な苦痛を与える行為です。
パワハラと似ていますが、モラハラは職場の立場や優位性を問わず、相手に屈辱的な言葉や態度を浴びせることが特徴です。パワハラの定義の①だけを満たさないものです。
モラハラは、身体的な暴力ではないため、周囲に気づかれにくいという点が問題視されています。
マタニティハラスメント(マタハラ)
マタニティハラスメントとは、職場で妊娠・出産や育児休業のことについて、上司や同僚からの言動によって、妊娠・出産した女性や育児休業を取った人が働きづらくなることを言います。たとえば、妊娠したことを理由に冷たい態度を取られたり、育児休業を取ったことで嫌なことを言われたりする場合などです。
ただし、仕事を分担する必要があったり、安全に配慮したりするために行われる、仕事の上で必要な言葉や行動は、ハラスメントにはなりません。たとえば、体調を気づかって仕事を調整する場合などは問題ありません。
具体的には以下のような例があります。
・ 産休の取得を上司に相談したところ、「休みを取るなら辞めてもらう」と言われた。
・ 時間外労働の免除について上司に相談したところ、「次の査定の際は昇進しないと思え」と言われた。
カスタマーハラスメント(カスハラ)
カスタマーハラスメントとは、顧客がその立場を利用して、企業やその従業員に対してサービスの範囲を超えた不当な要求や過剰なクレームを行い、従業員に精神的・肉体的な負担をかける行為を指します。
具体的には以下のような例があります。
【過剰なクレーム】
・商品やサービスに対する不満を過剰に主張し、謝罪や補償を何度も要求する。
・問題が解決された後も執拗にクレームを繰り返す。
【暴言・脅迫】
・従業員に対して怒鳴り散らす、侮辱する、人格否定をする。
・「上司を呼べ」や「ネットに悪い口コミを書く」などと脅す。
【不合理な要求】
・企業の規定外の特別対応や、従業員個人に対する過剰な依頼をする。
・店舗やサービスの営業時間外の対応を強要する。
【身体的な攻撃】
・商品に不満があると店内で暴れたり、従業員に物を投げつけたりする。
・暴力的な態度で従業員を威圧する。
スメルハラスメント(スメハラ)
スメルハラスメントとは、強い体臭や香水などの匂いが、周囲に不快感を与え、迷惑をかける行為を指します。スメハラは、本人が気づいていない場合も多く、特に職場では人間関係や職場環境の問題につながることがあります。さらに、強すぎる香水や柔軟剤の匂いは、アレルギーやぜんそくなどの健康被害を引き起こす場合もあります。
具体的には以下のような例があります。
・汗や口臭などの強い体臭
・強すぎる香水や柔軟剤の香り
・喫煙後に服や髪についたタバコのにおい
スメハラは、意図的でなくても周囲に影響を与えるため、職場や公共の場では匂いに対する配慮が必要となります。
まとめ
ハラスメントは、職場や社会において深刻な問題となりうる行為であり、その防止と対応が重要です。パワハラやセクハラ、マタハラなど、さまざまな種類のハラスメントが存在し、それぞれに適した対策が求められます。
ハラスメントの防止には、定期的な研修や社内ガイドラインの策定、そして相談窓口の設置などが効果的です。これにより、従業員が安心して働ける環境を整え、トラブルの早期発見や解決に繋がります。
まずはハラスメントとは何かを正しく理解することが重要です。企業と個人が協力して、ハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
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【参考文献】
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント|厚生労働省 (mhlw.go.jp)