「リモートワークによりチームの協働が上手くいかない」や「個別面談での不眠やメンタルヘルスの相談にどう対応すれば良いのか」という悩みを抱えている人事担当者は多いのではないでしょうか?
デジタル業界(情報通信業界)は、他の業界に比べてPC作業が中心となるため、メンタル不調などの業界特有の問題を抱えがちです。さらに、プロジェクトの締め切りに伴う高い業務負荷、長時間のデスクワーク、目の疲れ、運動不足なども顕著な課題となっています。
人事・労務担当者は、これらの特有の問題に対応する責任を担い、労働者の働く環境の改善が求められます。しかし、医学的な知識が必要な場面も多く、対応に苦慮することがあるでしょう。
この際に、契約中の産業医と連携して仕事を行うことができれば、より環境を改善できるはずです。
今回の記事では、自社にあった産業医選びにお困りの人事・労務担当者向けに、デジタル業界(情報通信業)の分野に適した産業医とはどんな特徴なのかについて記載しています。また最後には、簡単なデジタル業界に向いている産業医を見分けるためのチェックリストも記載しています。
是非、産業医を契約中の方は自社の産業医がこの条件を満たしているか、産業医をこれから雇うことを考えている方は産業医にとってどんなことが必要なのかをぜひこの機会にご確認してみてください。
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デジタル業界の現状と産業医の重要性
デジタル業界における労働災害の現状
厚生労働省の統計によると、全国的にメンタルヘルス不調により連続して1ヶ月以上休職した労働者の割合は0.4%で、退職した労働者の割合は0.2%と年々増加しています。特に1ヶ月以上休業した労働者は、情報通信業が最も多い傾向にあります。
労働災害の例
- 筋肉・骨格系の障害:デスクワークによる腱鞘炎や背中・首の痛み、手首の障害など。
- 視覚障害:長時間の画面使用による眼精疲労、ドライアイ、長期的には視力低下。
- 精神的ストレス関連の疾患:高い業務圧力や長時間労働による抑うつ、不安障害。
- 心臓病や高血圧:ストレスが原因の心血管系疾患。
- 不眠症:長時間労働やストレスによる睡眠障害。
など様々なものが挙げられます。
産業医は、このような労働災害がおきうる可能性を予見し、企業の生産性と従業員の健康の両面を維持するため、迅速に必要な措置を講じるサポートをするという重要な役割を担っています。
次に、デジタル業界に向いている産業医の4つの特徴について詳しく解説していきましょう。
デジタル業界の理想の産業医の4つの特徴
企業文化をより深く理解しようとする
「自社の産業医はデジタル業界の文化や特有の問題を十分に理解していない」と感じたことはありませんか?デジタル業界は他の業界と異なる特有の文化を持ち、これに適応するためには産業医にもその文化への深い理解が必要です。
- リモートワークとチームワーク: デジタル業界ではリモートワークが多いこともありますが、これによるコミュニケーションの障害や孤立感が従業員のメンタルヘルスに影響を与えることがあります。
- 簡単な対策例:オンラインコミュニケーションの効果的な手法やメンタルヘルスのためのオンラインワークショップの開催。
- 高い業務負荷とプロジェクト管理: 締め切りやプロジェクト納期による高い業務負荷が従業員にかかり、メンタル不調を引き起こすことがあります。
- 簡単な対策例:タイムマネジメントとストレスマネジメントのトレーニング、定期的な健康診断の実施。
- 技術の急速な進化と適応: Chat-GPTやGoolge BIRDなど、デジタル業界の急速な技術革新に追いつくためのプレッシャーが従業員の精神的な負担になることがあります。
- 簡単な対策例:継続的な教育プログラム、新技術への適応をサポートするツールやリソースの提供。
- 健康的なワークライフバランスの維持: デジタル業界の高い業務圧力により、ワークライフバランスの維持が困難になることがあります。
- 簡単な対策例:フレキシブルな勤務体系、ストレス軽減のための社内イベントやアクティビティの企画。
デジタル業界における産業医の役割は、単に病気や怪我を予防するだけでなく、従業員のメンタルヘルスや生活習慣の改善、職場環境の最適化を通じて企業に貢献することです。このためには、従業員および経営層との強固なコミュニケーションと、業界特有のニーズへの深い理解が必要になります。
労働安全衛生法やその他の産業保健法に関しての知識がある
「あなたの企業は働き方改革の対策や、ストレスチェック後のメンタルヘルス対策はできていますか?」
デジタル業界では、法改正への迅速かつ適切な対応が欠かせません。
特に労働時間や働き方改革に関する最近の法改正もあり、労働時間の厳密な管理やメンタルヘルス対策への重要性が増しています。
しかし、多くの企業はこれらの法規制を正確に把握し、適切に対応できていなことがあるのも現状です。ここで医学的な知識を持ち、かつ組織へのアプローチ方法も知っている産業医の役割が重要になります。IT業界に働く産業医は、これらの法律に精通し、各企業の状況に応じた具体的な提案と実行のサポートを行う必要があります。
つまりデジタル業界の人事・労務担当者は、産業医を連携することで「健康と安全」の相談相手という側面だけでなく、企業の安全文化の形成と維持をより効果的に行うことができるのです。
迅速なレスポンスと緊急事態などにも対応して動ける
「緊急時に迅速な対応が必要な状況で、産業医が相談に応じてくれなかった」という経験はありませんか?デジタル業界で働く人々は、特有の高いストレスレベルに直面し、メンタルの問題を引き起こすこともあります。そのため、産業医と協力した早期対応が非常に重要です。
緊急事態への対応:
- 深刻なメンタルヘルスの問題への迅速な介入:従業員が極端なストレスや自殺念慮を表明した場合、産業医は即座に人事労務担当者と協力し、適切なケアや専門的なサポートを提供することが重要です。
- 健康危機の対応:高血糖や高血圧などの状態になどの重大な健康問題が発生した際には、産業医が適切な就業制限や措置を調整し、従業員の早期復帰を支援します。
予防的サポート:
- メンタルヘルスのための研修とワークショップ:ストレス管理やメンタルヘルスのセルフケアに関する教育を提供し、従業員がセルフケアのスキルを身につけることを手助けします。
- 定期的なメンタルヘルスのチェック:従業員のメンタルヘルス状態を定期的にチェックし、企業と相談の上、必要に応じて個別の支援を提供します。
このように、デジタル業界で働く産業医は「健康と安全」に対して深い知識を有し、緊急事態やまたその事象が起きないような対策ができる産業医が必要不可欠になります。
外国人労働者の対応をしたことがある
「今年度も外国人労働者を積極的に採用します」という方針はデジタル業界においても益々重要になっています。グローバル化の進展と技術分野での人材不足が背景にあるためです。
特に、デジタル業界では多様な背景を持つ労働者が集まりますが、言語の壁や文化の違いにより、職場でのコミュニケーションの問題やストレスが生じる可能性があります。これは、プロジェクトの進行やチームワークに影響を与えることがあり、労働環境やメンタルヘルスの面でのリスクが増加する要因となります。
このような、産業医の役割は非常に重要です。産業医は、次のような具体的な対応を行うことが求められます。
- 多文化理解の推進:
- 従業員間の文化的多様性を理解し、それを尊重する企業文化の構築支援。
- 企業との緊密な協力
- 外国人労働者が直面する特有の問題に対する理解を深め、それに基づいた健康管理戦略やメンタルヘルスサポート。
産業医は、IT業界における健康管理だけでなく、企業のグローバル化戦略においても重要な役割を果たすことができます。外国人労働者の健康と安全を守ることは、企業全体の生産性とチームの効果的な機能に直接貢献します。
総括:デジタル業界の理想の産業医のまとめ<簡単チェックリスト付き>
最後に、建設業や建築業に向いている産業医の基準をチェックリストにまとめました。
<必須条件>
・企業文化の理解と適切なコミュニケーションをとることができる
・労働安全衛生法などに関して幅広い知識を持っている
・レスポンスが早く、法改正などにも対応してくれる
・デジタル分野に造詣が深い
<副次条件>
・ 外国人労働者の対応をしたことがある
これらはデジタル業界に求められる産業医の条件の一例です。そして、この項目の中で最も大事になるのは、『企業文化にあった提案をすることのできる産業医』です。現在の産業医がこの条件を満たさない場合は、変更を検討する価値があるかもしれません。
以上が「デジタル業界に向いている産業医」についての記事になります。最後までお読みくださりありがとうございました。
弊社でも、「産業医はそんなもんだとコストとして諦めていたけど、産業医も先生によってこんなに違うんですね」と驚かれる人事・労務の方も一定数いらっしゃいますので、先生によってバラツキがあるのも事実と思います。
ライフインベスターズでは、コミュニケーション能力や専門性など、書類や面接審査を通じて一定の基準を満たした厳選した産業医が所属しております。
大手法人様はもちろん、これから衛生委員会を立ち上げるスタートアップ・ベンチャー企業様への対応経験も豊富にございます。特にメンタル対応についてお困りの法人様から専門性の高さで高くご評価いただいておりますので、産業医の交代を含め、何かお困りやご不満がございましたら、無料のオンライン相談も受けつけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。