この記事はこのような方に向けて書いています。
・発達障害を持つ同僚とのコミュニケーションに悩んでいる方
・発達障害の部下に対する指導方法を知りたい管理職や上司の方
職場で発達障害を持つ同僚や部下と接する際、どのようにサポートすればよいのか、戸惑うことはありませんか?コミュニケーションがうまく取れず、業務の指示が伝わりにくい、仕事の進め方が違うなど、発達障害を持つ人と接する中で、職場の人間関係に悩む方も多いのが現状です。本記事では、発達障害を持つ部下や同僚と円滑にコミュニケーションを取るための具体的な方法や、職場での適切なサポートについて解説します。職場環境をより良くするためのヒントを、一緒に探っていきましょう。
発達障害とは
発達障害とは、生まれつき脳の機能に特徴があることで、コミュニケーションの難しさや、特定の分野の困難さが生じる障害のことです。
発達障害にはさまざまな種類があり、症状の現れ方も人それぞれ異なります。主な発達障害のタイプとして、以下のものがあります。
1.自閉症スペクトラム障害(ASD)
社会的なコミュニケーションや対人関係の難しさ、興味の偏りやこだわりが特徴です。
2.注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意力の散漫さ、多動性、衝動的な行動が見られます。集中力の維持や計画的な行動が難しいことがあります。
3.学習障害(LD)
読み書きや計算といった特定の学習分野における困難さがあります。知能全体には問題がない場合でも、特定のスキルに関してだけ苦手さが際立ちます。
4.アスペルガー症候群
自閉症スペクトラム障害に含まれるものであり、知的な遅れがない一方で、コミュニケーションや対人関係に独特の難しさがあります。
発達障害の症状は、幼少期から現れることが多いですが、診断せずに「ただの怠け者だ」と誤解されたまま成長し、社会人になってから初めて発達障害と診断されるケースも少なくありません。
これらの症状は薬物治療による対症療法はあるものの、原因療法は見つかっていません。
現在のところ、発達障害の原因を根本的に治療する方法は見つかっていませんが、薬物療法や認知行動療法、職場での適切なサポートなどによって対処療法を行なっていくことが重要です。
重要なのは、発達障害の原因は親のしつけや教育の問題ではなく、個人の特性として捉えることです。また、その症状は障害の程度や年齢、生活環境によって異なり、複数の症状が同時に現れることもあります。そのため、周りの人々が発達障害を持つ人を理解し、適切なサポートを行うことが必要不可欠です。
具体的なシーンと接し方の例
出勤時
いきなり挨拶をすると驚いてしまうことがあるが、どうすれば良い?
基本的に他の職員と同じように挨拶をしましょう。
緊張して自分から挨拶がなかなかできない人でも、周囲から挨拶されると歓迎されていると感じて緊張が緩和される場合もあります。
仕事中
仕事のやり方があっていない気がするが指摘してもいいの?
・緊急性の高い状況
直接声をかけ、やり方を確認することが望ましいです。ただし、大声や威圧的な声かけは避け、冷静で優しい言葉遣いを心がけましょう。
・緊急性が高くない状況
仕事の進め方等について複数の人から異なる指示や説明があると混乱してしまうこともあるため、仕事の指導・管理担当者等に様子を伝え、必要な対応を検討してもらうと良いでしょう。
仕事について困っていそうだけどどうするべき?
まずは何か困っていることがあるのか、声をかけてみましょう。
困っているのであれば、内容に応じて解決方法、もしくは誰に聞けば解決するのかを一緒に考えるとよいでしょう。
困っていないということであれば、そっとしておきつつ、指導・管理担当者等に一声かけておくのが望ましいです。
繁忙期に入ってそわそわしているように見えるけど、どう声をかけるべき?
発達障害の方の中には、見通しが立たない事柄について不安を覚える方もいます。いつ頃になれば雰囲気が落ち着くだろうといった今後の見通しについての話があると安心につながる場合があります。また、感覚過敏などの特性があることもあるので指導・管理担当者等に様子を伝えて、支援ツールの活用も検討すると良いでしょう。
メモを取るのに時間がかかって説明や指示に時間がかかって困っている
仕事の指示は口頭のみではなく、書面で提示し、書面にない口頭のみの内容はあくまで補足にとどめるようにしましょう。一字一句全てをメモしようとする方もいるため、要点を絞った書面を用意することが効果的です。
社外の人に対して馴れ馴れしい態度や言葉遣いをして、相手を怒らせてしまった!
発達障害の方は、社交の距離感や言葉遣いが難しいことがあります。
先ほどの例にも通じますが、まずは本人に「ある言葉遣いや態度が、周囲を不快にさせている」ということを伝えましょう。暗黙のルールや「常識」など明文化されていないものは認識できていないこと場合があるので人との関わり方や距離感、コミュニケーションの取り方、会社のルールやマナーについて一つ一つ理解してもらいましょう。
会議や打ち合わせの場で、自分の意見を曲げず、相手の意見を全く聞こうとしないため、場の雰囲気を悪くさせてしまった!
相手が強く主張している場合は、まず相手の意見を認め、「なるほど、○○さんの意見は理解しました」と伝えましょう。それによって相手は自分の意見が認められたと感じ、次に他の意見にも耳を傾ける余裕が生まれることがあります。会議の後に、個別に話し合いをすることも有効です。そこで意見の相違があった点や会議中の姿勢について丁寧にフィードバックし、相手がどう感じていたのかを聞き出す場を作ります。
業務外の時間
一人でいるけどどうしよう?
「もしよかったら」と声をかけた上で、本人の意思を尊重するのが望ましいです。
休憩時間は独りで過ごす方がリフレッシュできる人もいたり、日によっては輪に加わりたい場合もあったりするため、無理をさせずに選択肢をあたることで安心感を持たせましょう
スマホの音量が大きい、大声で話しているなど迷惑だと思うことがある時どうするべき?
マナー面について、暗黙のルールなど、明文化されていないことはルールとして認識できていない場合があります。注意や叱責、苦情ではなく、ルールや迷惑に感じていることを説明した上で、望ましい対応(例:イヤホンの利用等)について具体的な提案をするような声がけが望ましいでしょう。威圧的にならないよう注意しましょう。
飲み会に誘ってもいいの?
他の職員と同じように声をかけるのが望ましいでしょう。人が大勢いる場所が苦手な方もいるので強制参加ではないという前提で希望を確認すると良いでしょう。
まとめ
この記事では、発達障害を持つ同僚や部下との職場での関わり方について、上司や同僚が取るべき具体的なサポート方法や配慮を紹介しました。発達障害の特性を理解し、コミュニケーション方法や業務指示の工夫、チーム全体での協力体制を整えることで、発達障害を持つ社員が職場で最大限に能力を発揮できる環境をつくることができます。職場全体での理解とサポートが、誰にとっても働きやすい職場環境の形成に繋がるのです。この記事を参考に、ぜひあなたの職場でもこれらの方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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【参考文献】