この記事はこのような方に向けて書いています。
・適応障害の人との接し方が分からない方
・自分の言動が適応障害の人にさらにストレスを与えてしまうのではないかと不安な方
適応障害を診断された人に対して、みなさんはどう声をかけますか?不用意な発言で相手を傷つけてしまわないか、さらに症状を悪化させてしまうのではないかと不安になったことがある方も少なくないのではないでしょうか。
メンタルヘルスによる労災認定件数は年々増加しています。今まではただメンタルが弱い、気力が足りないだけだと考えられがちだったものにはっきりと病名がつくことで対応を考え直す方も増えていることと思います。
この記事では適応障害の方にどのように接すると良いか、避けるべき行動は何かについて解説しています。適応障害の人との接し方に悩んでいる方へ、本記事をお悩み解決のサポートの一つとしてぜひ役立ててください。
ライフインベスターではラインケアやセルフケアの資料なども豊富に取り揃えており、どう接すればいいのかをより具体的にアドバイスもすることができます。ぜひ部下の対応等にお悩みの際はお声掛けください。お問い合わせはこちらより
適応障害とは?
そもそも適応障害とはどのようなものなのでしょうか。
適応障害は、私たちの生活や職場での大きな変化、深刻なストレスにより、日常生活を送ることが困難になるほどの心理的な負荷が生じる病気です。適応障害の原因になり得る出来事に晒されれば誰にでも発症する可能性があります。うつ病の一歩手前の状態だと考えられていて、気のせいでもただ心が弱いだけでもありません。
具体的には、胸が苦しくなるような不安、落ち込み、焦燥感、神経質になる、睡眠障害、仕事への集中困難などが挙げられます。
適応障害の特徴はストレスとなる出来事が明らかなことで、たいていはストレス源が軽減されたり解消されると、症状が和らぎます。症状は一時的であることが多いので、6か月以上続くようならうつ病などのほかの病気の可能性も考えられます。
具体的な症状とは?
一般的な症状と職場での表れ方
適応障害にはどのような症状があるのでしょうか。
適応障害の症状は、心の症状と体の症状の2つに分けることができます。体の症状が周りの人に気づかれやすいのに対し、心の症状は理解してもらえないことも多いです。
そのため、職場においてこれらの症状がどのように現れるのかを理解することはとても大切です。具体的な例を挙げていきましょう。
【心の症状と職場での現れ方】
- 不安や抑うつ→仕事に対してやる気がなくなる
- 感情の起伏→人間関係でトラブルを起こしやすくなる
- 集中力の低下→ミスが増える、仕事の効率が下がる
【体の症状と職場での現れ方】
- 睡眠障害→ベットに入っても眠れない、朝早くに目がさめる、明け方に目がさめることで睡眠が不足し、日中の居眠りが増える
- 勤怠の乱れ→突発的な遅刻や早退、欠勤が増える
- 疲労感→疲労で動けなくなる、寝ても疲労がとれないので仕事の効率が下がったり居眠りしたりする
より詳しいシチュエーションを考えてみましょう。
例えば、
- 以前は協力的だった従業員が孤立する、または逆に過度に攻撃的になる
→「行動パターンの変化」
- 日々の気分が不安定で、予測不可能な反応を示す
→「気分の波がある」
- 細かいミスが増える、重要な業務を見落とす
→集中力の喪失
などが挙げられます。普段との些細な違いに気づくことが適応障害を悪化させる前に治療につなげるために重要です。
適応障害の人に対してどのような接し方をするべきか
適応障害の人にとって、周りの人間の対応はメンタルが健全な状態である時に比べてさらに大きな影響を及ぼします。ここでは避けるべき言動・行動ととるべき言動・行動に分けて解説します。
避けるべき言動・行動
否定的な行動
相手の気持ちを否定する、そしてこのようなことを繰り返すと、「この人には話しても無駄だ」と思うようになり、適応障害の人にとっては相談できる相手が減ります。また、話したことを否定されると自分自身を否定されているように感じ、適応障害の原因となるストレスの一つになります。
「大したことない」や「私の時はもっと大変だった」「もっと大変な人もいるんだよ」といった言葉は避けるべきでしょう。
過度な圧力をかける
「病気を早く治せ」といった圧力をかける言動はストレスを増大させ、適応障害の症状を悪化させる可能性があります。一緒に働いている周りの人の心情としては、仕事のしわ寄せが来るから早く治してほしいと思われるかもしれませんが、余計なストレスを与えるような言動は控えましょう。
過度な励ましをする
「頑張ってね」「早く元気になってね」といった言葉は早く治さなきゃという焦りにつながり、ストレスになります。また、もっと頑張らなきゃいけないと自分を追い詰めてしまう可能性があります。
プライバシーの侵害
個人的な健康情報や家庭環境、ストレス要因などを必要以上に詮索することは相手にストレスを与えます。産業医や人事担当者などが治療やサポートに必要な情報を聞き取る以外に、必要以上の詮索はプライバシーの侵害になるので避けましょう。
通常のパフォーマンスの期待
適応障害の症状が現れて仕事の効率が下がらざるを得ないときに通常のパフォーマンスの期待すると余計なプレッシャーをかけてしまいます。まずは治療を優先させるよう声掛けをしましょう。
とるべき言動・行動
共感する姿勢、傾聴する姿勢を示す
受け入れてもらえる、理解してもらえるという安心感を与えることで症状の改善につながります。発言を評価するのではなく、話を聞く姿勢を示すことが大切です。
また、「話す」という行動は頭の中を整理し、問題を解決するのに有効ですが、本人のペースに合わせることが重要です。本人が話したがっていないようであれば無理に聞き出そうとせず、話そうと思えるようになるまで待ちましょう。
「困ったことがあればいつでも聞くよ」「いつでも相談にのるよ」と伝えてあげてください。
休養を勧める
適応障害の人は自分の不調に気付いていない、または自分が弱いだけだと思い込んで無理をしていることもあります。適応障害を治すにはストレス要因から離れることが大切です。
周りが体調の変化やメンタルヘルスの異変に気付いた場合は休養を勧めてください。本人は自分が休むことで周りの人に迷惑をかけるのではないかと思い、休むことに抵抗を覚えていることもあります。「心配せずにゆっくり休んでね」と伝え、治療に集中できるようにしましょう。
治療・社会復帰のサポート
上司の場合は産業医の紹介、カウンセリングプログラムの紹介など適応障害の治療をする上で適切なサポートを受けられるように協力しましょう。
また、無理のない範囲で仕事に復帰できるよう環境を整えましょう。「できる限りサポートするよ」と伝え、過度な干渉はせずに必要な時に必要なサポートをしてください。
まとめ
適応障害の人に対する周りの人間の対応は影響が非常に大きく、治療の進み方にも大きく関わってきます。適応障害の原因となるストレスを与えない、メンタルの安定を促すという二つの側面からアプローチすることで速やかに通常のメンタルに戻れるような環境づくりを目指しましょう。
安全な職場環境の構築と維持は、すべての企業の責任であり、企業としても適切な産業医と協力することで専門知識がその実現に大いに貢献するはずです。
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