健康経営優良法人の認定に向けた「適切な働き方実現」の事例紹介

健康経営優良法人の認定に向けた「適切な働き方実現」の事例紹介_産業保健プラス 産業医監修の明日の解決策が見つかるメディア_メンタル対応に強い産業医紹介 LiFE Investors株式会社

この記事はこのようなお悩みをお持ちの方に向けて書いています。

・健康経営優良法人の認定取得を目指したい

・「適切な働き方実現」に向けた自社での具体的な取り組みを探したい

・地方勤務者や病気と向き合う従業員にやさしい職場づくりを検討している

健康経営優良法人の認定基準には、従業員の健康維持や職場環境改善に関するさまざまな項目が含まれています。その中でも「ワークライフバランスの推進⑤ 適切な働き方実現」では、単に労働時間を減らすだけでなく、多様な立場の人が働きやすい環境を整えることが求められています。

一方で、実際にどのような取り組みをすれば良いのか迷う法人様も少なくありません。そこで本記事では、認定条件に沿った取り組みを「無料でできること」「少し労力が必要なこと」「大掛かりなこと」の3段階に分け、具体的な事例を紹介しています。

目次

健康経営優良法人における「適切な働き方実現」の位置づけ

「適切な働き方実現」とは、単に残業を減らすことではありません。勤務時間の柔軟性や休暇取得のしやすさ、治療や家庭の事情に合わせた配慮など、社員一人ひとりが無理なく働ける仕組みを整えることが求められています。つまり、企業の制度と現場の運用を通じて「社員の健康と生活を尊重しているかどうか」が問われる項目です。

無料でできる取り組み事例

株式会社 丸庭佐藤建設(北海道岩見沢市)

建設業では、従業員の年齢層が高くなるにつれて、心身のリフレッシュや体調管理がますます重要になります。丸庭佐藤建設では、従業員の約6割が50代以上という状況を踏まえ、休暇取得の推進に力を入れました。特徴的なのは、専務取締役自らが休暇日程を工程表のように調整している点です。現場の進行に配慮しつつ従業員の希望を反映させることで、休暇を取りやすい雰囲気を作り出しました。これにより、従業員は「現場に迷惑をかけるから休めない」という心理的負担から解放され、安心して休暇を取得できるようになっています。トップが積極的に関わる姿勢は、シンプルながら非常に効果的な取り組みといえます。

ユーシン建設 株式会社(富山県砺波市)

ユーシン建設では、「アニバーサリー休暇」というユニークな制度を導入しています。従業員は誕生日前後に休暇を取得できる仕組みで、全員が取得している点が特徴です。単なる休暇日数の確保ではなく、「記念日を大切にできる職場文化」をつくることが狙いであり、社員のモチベーションや家族との関係性を支える効果があります。さらに、従来実施していたノー残業デーをあえて廃止したにもかかわらず、今では従業員が自主的に早帰りをする習慣が定着しており、結果として有給休暇の取得率も前年比10%上昇し、働きやすい職場環境が自然に醸成されています。

少し労力が必要な取り組み事例

株式会社 東京堂(青森県むつ市)

東京堂は、社員一人ひとりの生活事情に合わせた柔軟な勤務体制を整備しています。その取り組みの一つが、100通り以上の勤務シフトの用意です。午後からの出勤や短時間勤務を可能にすることで、子育てや介護を担う社員、さらには病気治療中の社員も安心して働ける環境を実現しました。さらに、有給休暇を1時間単位で取得できる仕組みを導入しており、通院や地域活動、趣味のために時間を活用することも可能です。男性従業員が育児や介護に参加しやすいよう、特別休暇制度も設けています。従業員の「ライフステージに応じた働き方」を支援する姿勢が評価される事例です。

笑み社会保険労務士法人(静岡県浜松市)

笑み社会保険労務士法人では、従業員自身が主体的に関わる仕組みを作った点が特徴的です。「働き方委員会」を設置し、短時間勤務や時差出勤といった制度を職員自らが考案しました。自分たちで作った制度だからこそ納得感が高く、利用率も高まっています。さらに、クラウド業務管理ツール「Kintone」を導入し、案件の進捗や負荷状況を全員が把握できるようにしました。これにより、忙しい職員を他のメンバーが自然にフォローする体制が整い、チーム全体のバランスが向上しました。制度とITツールを組み合わせた取り組みは、中小規模の事務所でも実現可能な実践例です。

大掛かりな取り組み事例

及川産業 株式会社(北海道岩見沢市)

及川産業株式会社では、従業員の働き方を抜本的に改善するため、従来の「4週4休」から「4週6休」へと勤務体系を見直しました。また、休日を増やすだけでは収入減の懸念が生じるため、賃金を一律10%ベースアップする思い切った施策を同時に実施しました。結果として、従業員の約75%が新しい休暇制度を利用し、休暇取得が定着しました。労働環境の改善と賃金改善を同時に行うことで、従業員の満足度が大幅に高まり、定着率向上にもつながっています。建設業界の厳しい働き方改革を成功させた大胆な取り組みといえます。

アクロクエストテクノロジー株式会社(神奈川県横浜市)

IT業界では徹夜や深夜残業が常態化しやすいですが、アクロクエストテクノロジーはそれを徹底的に排除しました。まず、国際基準であるCMMIを導入してプロセス改善を行い、徹夜作業を完全に廃止しました。さらに「帰ろう8ボード」を掲げて20時以降の残業を制限し、最終的には20時以降の残業禁止を徹底しました。加えて、自社開発の「アクロノート」というスケジュール管理システムを活用し、業務を可視化させることで社員全員が時間を意識して効率的に働く習慣を身につけました。働き方改革が難しいとされるIT業界で、制度とツールを組み合わせて成功した好事例です。

(※CMMI・・・Capability Maturity Model Integration の略称で、組織のあらゆるビジネスプロセスに対する能力度と組織の成熟度を評価する国際標準的指標のこと)

海外企業から学ぶ

海外では、日本よりも早い段階から「適切な働き方」の実現に向けた挑戦が進められてきました。その背景には、人材不足や高齢化といった社会課題だけでなく、「従業員の幸福度が企業の生産性に直結する」という考え方が根付いていることがあります。つまり、単にコスト削減や効率化を目的にするのではなく、「健康で持続的に働ける環境を整えること」そのものが、競争力の源泉と捉えられているのです。

北欧の事例:労働時間の短縮と生産性向上

北欧諸国では、労働時間の短縮を通じて生産性を高める取り組みが積極的に行われています。スウェーデンでは「6時間労働制」を試験導入した企業があり、労働時間を減らしながらも成果はむしろ向上し、社員の健康状態やモチベーションも改善しました。アイスランドでは、政府と労働組合が連携して「週4日勤務制」の大規模な実証実験を実施。結果として、業務効率を維持したまま従業員の幸福度が大幅に上昇し、政策としても制度の拡大が進められています。これらは「長く働くほど成果が上がる」という従来の価値観を覆す事例です。

アメリカの事例:治療と仕事の両立支援

アメリカの大手企業では、慢性疾患やがんなど健康課題を抱える従業員を支援する仕組みが整備されています。企業によっては、専門のヘルスコーチやナースを社内に配置し、従業員が治療と仕事を無理なく両立できるよう支援しています。また、医療機関や保険会社と連携して、治療計画に基づく柔軟な勤務形態を取り入れる事例も増えています。単なる福利厚生にとどまらず、社員の健康を経営資源として捉え、長期的な雇用と人材の活躍を支える姿勢が特徴です。

オーストラリアの事例:場所にとらわれない働き方

オーストラリアでは、リモートワークを前提とした採用を推進する企業が増えています。地方在住者や国外在住の人材も、オンライン環境を通じて本社業務に参加できる仕組みが整備され、採用の幅が一気に広がりました。これにより、働く場所の制約に縛られない人材活用が可能となり、育児や介護を担う従業員も自分の生活に合わせて柔軟に働けるようになっています。特に広大な国土を持つオーストラリアにおいては、移動時間や通勤負担を削減する効果も大きな意義を持っています。

まとめ

「適切な働き方実現」は、健康経営優良法人の認定基準を満たすうえで欠かせないテーマです。無料で取り組める小さな工夫から始め、徐々に制度整備や組織改革へとステップアップすることで、社員の健康を守りながら企業の成長を支える仕組みが整っていきます。

誰もが安心して働ける環境を整えることが、結果的に「健康経営」の実現につながります。まずは自社でできることから一歩を踏み出し、段階的に取り組みを広げていくことが大切です。

健康経営の取り組みをサポートします

健康経営を本格的に進めたいけれど、「どこから始めればいいかわからない」「制度を作ったけれど運用がうまくいかない」と悩む法人様は少なくありません。

ライフインベスターズ では、産業医紹介や職場改善のアドバイスを通じて、法人様ごとに最適な健康経営の仕組みづくりをサポートしています。法律や制度に沿った対応はもちろん、現場に合わせた実践的な施策の導入まで伴走支援が可能です。

さらに、健康経営優良法人の認定取得に向けたコンサルティング支援や、健康データの一元管理・受診勧奨をワンクリックで完結できる健康管理システムの提供も行っており、企業の取り組みを効率的かつ継続的に支えます。

  • 健康経営優良法人の認定取得を目指している
  • 産業医の選任や効果的な活用に課題を感じている
  • 社員の健康管理を通じて離職防止や生産性向上を実現したい

このような考えをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

健康経営の取り組みを進めることは、社員の幸福だけでなく、企業の持続的な成長にも直結します。ライフインベスターズとともに、安心して働ける職場づくりを始めてみませんか?

【参考文献】

kenkokeieiyuryohojin_jireisyu.pdf

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