この記事はこのようなお悩みをお持ちの方に向けて書いています。
・休職中で、復職を考えているが不安だ
・「仕事復帰が怖い」と感じているが、その理由が自分でもわからない
・リワーク(復職支援プログラム)や主治医との連携について知りたい
・心身の状態を整えながら、安心して職場復帰を目指したい
「もうそろそろ復職した方がいいのかもしれない。でも怖いし自信がない。ちゃんとやっていけるかわからない。」
休職期間が長くなるほど、こうした不安は強くなっていきます。
焦りや孤独感、そして周囲の目も気になって、自分を責めてしまうこともあるでしょう。
しかし、「復職が怖い」と感じることは決しておかしなことではないのです。怖いと感じるのは心と身体がまだ完全に整っていないサインかもしれませんし、過去のつらい経験を思い出しているからかもしれません。
この記事では、そうした不安をどう乗り越え、どのように準備を進めていけばよいかを、 リワークプログラムや主治医との連携の視点から、わかりやすく解説していきます。
仕事復帰が怖いと感じる理由とは?
復職への不安は、多くの方が共通して感じるものです。特に、次のような思いがある場合、その不安はさらに強くなります。
- また同じように体調を崩してしまうのではないか
- 仕事についていける自信がない
- 周囲からどう思われるかが気になる
- 自分の病気をどう説明すればいいかわからない
こうした不安の背景には、「職場の環境が以前と変わっていないのではないか」「まだ自分の調子が万全ではないのではないか」といった心配が隠れていることもあります。
そのため、復職を焦るのではなく、まずは「不安があるのは自然なこと」と受け入れるところからスタートすることが大切です。
復職に向けた心と体の整え方

復職をスムーズに進めるには、単に「体調がよくなった」だけでは不十分です。次のような点を意識して、心と身体を整えていきましょう。
- 生活リズムを安定させる
起床・就寝時間・食事の時間を規則正しくする、バランスの良い食事をとる、軽い運動を行うなど、生活リズムを整えるとメンタルと体の調子が安定します。自分の面倒をしっかり見て、自分を大切にできることが心身の健康につながります。
- 再発予防の視点を持つ
自分がストレスを感じやすい場面やパターンを把握すると、再発する前に対策を取れるようになります。日記をつけるのも有効です。
- 自分の状態を説明できるようにする
職場にどんな配慮が必要かを言語化できると安心感が増すほか、職場の人も適切な対応を取ることができるようになります。
この段階で活用できるのが、次に紹介する「リワークプログラム」です。
リワークプログラムとは?
リワークプログラムとは、うつ病や適応障害、不安障害などのメンタルヘルス不調で休職した方が、職場復帰を目指して心身のコンディションを整えるための支援プログラムです。
主に精神科や心療内科、メンタルクリニック、そして一部の病院や地域の就労支援センターなどで提供されており、医療と福祉が連携しながら復職に向けた支援を行っています。
このプログラムの目的は、単に体調を回復させることではありません。
「働く」ための生活リズム・集中力・対人関係スキルを少しずつ取り戻し、再発を防ぎながら社会復帰への準備を進めることにあります。
リワークプログラムの内容
リワークプログラムは、施設によって内容が多少異なるものの、以下のような支援内容が一般的です。
- グループでのコミュニケーション練習
他者と関わることへの抵抗感や不安を減らし、職場での人間関係に備える訓練です。ロールプレイや話し合いを通して、対話力や傾聴力を育てていきます。
- ストレスマネジメントの方法
認知行動療法やマインドフルネスなどを活用し、自分のストレス傾向を理解しながら、対処法を学んでいきます。再発予防の観点からも非常に重要な内容です。
- 簡単な作業やワークによる集中力の回復
事務作業や読書、課題への取り組みなどを通じて、長時間集中する力やタスク遂行能力を徐々に回復させます。職場での業務遂行のリハーサル的な意味合いもあります。
- 職場復帰後の生活設計の立て方
どのように業務に戻るか、どんな配慮を職場に求めるべきかなどを整理し、主治医や産業医と共有できる形に整えます。自分の弱みや困りごとを客観的に把握し、言語化するサポートも行われます。
リワークプログラムに参加するメリットとは?
リワークプログラムに参加する最大のメリットは、復職前に、仕事に近い環境を安全に体験できることです。休職期間中、自宅で静養するだけでは見えなかった「仕事に戻るとはどういうことか」を、実際の行動を通じて確認できる貴重な機会になります。
また、同じような悩みや経験を持つ参加者と関わることで、孤独感が薄れ、気持ちが楽になったという声も多くあります。「自分だけじゃない」と思えるだけで、復職へのハードルがぐっと下がるものです。
さらに、リワークを通して得られた気づきや成長は、主治医や産業医への報告材料としても役立ちます。復職判断の参考となるだけでなく、復職後の業務調整や配慮事項の明確化にもつながります。
リワークは、スポーツでいうところの準備運動のようなものです。
心と体を慣らしながら少しずつ社会のペースに戻していくことで、無理のない復職が可能になります。復職を焦ってしまい、十分な準備がないまま戻ってしまうと、再発や再休職のリスクが高まります。リワークを通じて、安心して働き続けられる状態を目指すことが、結果的にはご自身の将来を守ることにもつながるのです。
主治医・産業医との連携の大切さ
休職から職場復帰を目指す際、医師との連携は非常に重要です。復職は単なる「出勤再開」ではありません。心身の不調によって離脱していた業務に戻るのは、心に大きな負荷がかかります。そのため、復職のタイミングや働き方の調整には、医療的な視点が欠かせません。
復職の可否や具体的な支援の必要性を判断するうえで、主治医による「診断書」や「意見書」は非常に重要です。この書類には、復職可能な状態であることの判断、働き方の配慮点、勤務時間の目安などが記載されており、職場側が復職可否を検討するうえでの基礎資料となります。
ただし、主治医が把握しているのは「医療的な状態」が中心であり、「職場の状況」までは見えていないことも多いのが現実です。そこで、産業医との情報共有が不可欠となります。
具体的には以下のようなメリットがあります。
- 復職に必要な配慮事項を職場に正確に伝えられる
「何にストレスを感じやすいか」「どのような働き方が望ましいか」など、主治医が把握している情報を、産業医が企業側に橋渡しすることで、復職後の配慮が現実的かつ具体的になります。
- 再発リスクを見越した就業計画が立てられる
たとえば、フルタイム勤務ではなく短時間勤務から始める、業務内容を段階的に増やしていくなど、主治医の見立てと産業医の職場理解を合わせて、無理のない復職プランが立てられます。
- 無理のないスケジュールで復帰できる
医療の視点と職場の実情をすり合わせることで、現実的かつ本人にとっても納得のいく復帰スケジュールを作成することができます。
産業医との面談の役割
復職に際しては、産業医との面談が実施されることが一般的です。
この面談では、以下のようなポイントを確認・調整します。
- 現在の体調と業務への影響の程度
- 復職にあたっての職場環境・業務内容のすり合わせ
- 必要な配慮(業務量、勤務時間、職場内のサポート体制など)
- 本人の不安や懸念点の把握と共有
このような対話を通じて、産業医は「この方が安心して働けるために、職場はどこまで支援できるか」を整理し、企業側に対して提案を行います。
復職をめぐる不安の中には、「自分のことを理解してくれる人が職場にいないのでは?」という孤独感も少なくありません。だからこそ、主治医や産業医との連携を通じて、「自分の状態が正しく伝わっている」「一人ではない」と感じられる環境を整えることが大切です。
安心して復職するためのステップ
以下のようなステップを意識することで、「怖い」という気持ちを少しずつ軽くしていくことができます。
- 主治医と復職の時期について相談する
- リワークなどに参加して、実践的な準備を進める
- 生活リズムや体調の安定を確認する
- 職場の産業医と面談し、復職計画を立てる
- 段階的な復職(短時間勤務や業務調整)を検討する

まとめ
「仕事復帰が怖い」と感じるのは、心が自分を守ろうとしているサインです。
その気持ちに無理にフタをせず、少しずつ不安と向き合いながら、復職への準備を整えていくことがとても大切です。
リワークや主治医との連携を活用することで、「怖い」という気持ちを「安心」に変えることができます。
焦らず、自分のペースで復職に向けた一歩を踏み出していきましょう。
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