この記事はこのような方に向けて書いています。
・特定保健指導の対象者を確認したい企業ご担当者様
・特定保健指導の対象者になり、選考基準が知りたい方
日本では高齢化に伴い生活習慣病が増加しており、それに伴う医療費の増加が問題となっています。そこで、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的として2008年から特定保健指導が開始されました。
とはいえ、健康で生活習慣病リスクのない人に指導を行う必要はないので対象者を絞って実施されます。
この記事では特定保健指導の対象者にフォーカスして解説していきたいと思います。
特定保健指導とは
特定保健指導は特定健康診査とセットで行われます。メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査を行い、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善が必要と判定された人に対しては特定保健指導を行います。
特定保健指導はリスクの程度(血圧、血糖、脂質、喫煙歴など)に応じて「動機付け支援」または「積極的支援」の2つに分けられます。
①動機付け支援
対象者が自分の健康状態を理解し、生活習慣を振り返りながら、改善のための具体的な計画を立てられるようになること、そして、その計画をすぐに実践に移し、長続きするようにやる気を引き出すことを目指した支援です。
②積極的支援
「動機付け支援」に加えて、定期的にサポートを続けることで、生活習慣を改善するための目標を決め、その目標を達成するために実際に取り組みながら、健康的な生活が続けられることを目指した支援です。
こちらの記事もご参照ください。

特定保健指導の対象者とは
特定健診・特定保健指導の対象となるのは40歳以上75歳未満の医療保険加入者です。
この中から後ほど説明する判定基準をふまえて対象者を決定します。
特定保健指導の対象者の判定方法
横浜市の例を用いて説明します。

【腹囲】
特定保健指導基準:男性85cm以上、女性90cm以上
標準値:男性85cm未満、女性90cm未満
【BMI】
特定保健指導基準:腹囲は基準値未満だがBMIが25以上
標準値:18.5-24.9 25以上は肥満とされています。
【血糖値】
特定保健指導基準:空腹時血糖100mg/dl以上or HbA1c5.6%以上(空腹時血糖の判定を優先)
HbA1cとはブドウ糖と結びついたヘモグロビンの割合のことです。過去1~2ヶ月前の血糖値を反映するので、当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けないのが特徴です。
正常値(空腹時血糖):80mg/dlから99mg/dl。100mg/dlから125mg/dlは糖尿病予備軍、125mg/dl以上は糖尿病の可能性が高いとされます。
正常値(HbA1c):5.9%以下。6.0%から6.4%は糖尿病予備軍、6.5%以上は糖尿病の可能性が高いとされます。
【脂質】
特定保健指導基準:空腹時中性脂肪150mg/dl以上(やむを得ない場合は随時中性脂肪175mg/dl以上)or HDLコレステロール40mg/dl未満
正常値(空腹時中性脂肪):30~149mg/dl。300mg/dl以上の場合は虚血性心疾患のリスクが高くなります。
正常値(HDLコレステロール):40mg/dl以上。
【血圧】
特定保健指導基準:収縮期血圧130mmHg以上or 拡張期血圧85mmHg以上
正常値(収縮期血圧):120mmHg未満。120~129mmHgは正常高値血圧(正常の範囲)。
正常値(拡張期血圧):80mmHg未満。
【喫煙】
特定保健指導基準:あり(直近1か月以内)
積極的支援対象者
先述の基準値のうち、以下の組み合わせに該当する人が積極的支援の対象者です。(ただし65歳以上75歳未満の人は除く)
- 腹囲+血糖値+脂質
- 腹囲+血糖値+血圧
- 腹囲+血糖値+喫煙
- 腹囲+脂質+血圧
- 腹囲+脂質+喫煙
- 腹囲+血圧+喫煙
- 腹囲+血糖値+脂質+血圧
- 腹囲+血糖値+脂質+喫煙
- 腹囲+血糖値+血圧+喫煙
- 腹囲+脂質+血圧+喫煙
- 腹囲+血糖値+脂質+血圧+喫煙
- BMI+血糖値+脂質+血圧
- BMI+血糖値+脂質+喫煙
- BMI+血糖値+血圧+喫煙
- BMI+脂質+血圧+喫煙
- BMI+血糖値+脂質+血圧+喫煙
動機付け支援対象者
先述の基準値のうち、以下の組み合わせに該当する人が動機付け支援の対象者です。
- 腹囲+血糖値
- 腹囲+脂質
- 腹囲+血圧
- BMI+血糖値
- BMI+脂質
- BMI+血圧
- BMI+血糖値+脂質
- BMI+血糖値+血圧
- BMI+血糖値+喫煙
- BMI+脂質+血圧
- BMI+脂質+喫煙
- BMI+血圧+喫煙
これに加え、積極的支援対象者のうち65歳以上75歳未満の人も動機付け支援の対象になります。
支援対象外の人
先述の基準値のうち、以下の組み合わせに該当する人はどちらの支援の対象にもなりません。
- 腹囲のみ
- BMIのみ
- 該当なし
- 高血圧症、糖尿病、脂質異常症で服薬中の人
まとめ
特定保健指導は、生活習慣病のリスクを抱える方々が健康的な生活習慣を身につけるための重要な取り組みです。特定健診の結果をもとに、科学的な基準で対象者が選定され、それぞれのリスクに応じた適切な支援が提供されます。企業にとっては医療費の抑制や従業員の健康管理に役立ち、個人にとっては健康リスクの低減や生活の質の向上が期待されます。健康管理の第一歩として、特定保健指導を有効活用しましょう!
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