人事労務担当者必見!職場の健康診断の内容とは?~各種健康診断のタイミングや対象者とともに解説~

この記事はこのような方に向けて書いています。

・企業で健康診断を管理している担当者

・健康診断に関する法的義務を知りたい経営者

現代のビジネス環境において、企業の成長と従業員の健康は密接に関連しています。そのため、健康診断は企業の重要な取り組みとして位置づけられています。定期的な健康診断は、従業員の健康状態を把握し、早期発見や予防に役立つだけでなく、職場の生産性や士気を向上させる要因にもなります。この記事では、会社における健康診断の具体的な内容や、その取扱い方について詳しく解説します。

目次

職場で行われる健康診断とは

職場で行われる健康診断には、「雇入時の健康診断」、「定期健康診断」、「特殊健康診断」、「特定業務従事者の健康診断」、「海外派遣労働者の健康診断」、「給食従業員の検便」、「歯科医師による健康診断」などがあります。それぞれ対象や時期、検査項目などが異なりますので、後ほど一つずつ紹介します。

費用について

特殊健康診断は業務と密接に関わるので、費用は、事業者が負担します。また、労働時間外に実施した場合は割増賃金を払う必要があります。

記録の保存について

健康診断の結果は、記録を作成して5年間保存する必要があります。これらの結果は疾病の発見や予防だけでなく、就業の可否や適正配置などの判断に利用されます。

結果の通知について

健康上の異常の有無に関わらず、企業は受診者全員に健康診断の結果を文書で通知する必要があります。また、常時50人以上の従業員を雇っている企業は、労働基準監督署へ健康診断結果を報告する義務があるので、注意しましょう。

雇入時の健康診断

【対象】

常時使用する従業員

【実施時期】

従業員を雇い入れる前後3ヶ月以内

【免除条件】

医師による健康診断を受けてから3か月経過しない者を雇い入れる場合、その者が該当する健康診断の結果を証明する書面を提出すること

【診断項目】

[1]既往歴及び業務歴の調査

[2]自覚症状及び他覚症状の有無の検査

[3]身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

[4]胸部エックス線検査

[5]血圧の測定

[6]貧血検査

[7]肝機能検査

[8]血中脂質検査

[9]血糖検査

[10]尿検査

[11]心電図検査

定期健康診断

【対象】

常時使用する従業員

【実施時期】

1年以内ごとに1回、定期

*定期…毎年一定の時期にという意味。時期については、事業場毎に決める。

【診断項目】

[1]既往歴及び業務歴の調査

[2]自覚症状及び他覚症状の有無の検査

[3]身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

[4]胸部エックス線検査及び喀痰(かくたん)検査

[5]血圧の測定

[6]貧血検査

[7]肝機能検査

[8]血中脂質検査

[9]血糖検査

[10]尿検査

[11]心電図検査

雇入時の健康診断の項目に喀痰検査を加えた形になります。

[3] [4] [6][7][8][9][11]については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができます。

特殊健康診断

【対象】

以下の労働安全衛生法で有害だと定められた業務に従事する労働者

1 高圧室内業務及び潜水業務

2 放射線業務

3 特定化学物質、製造等が禁止されている物質、石綿等

 ①特定化学物質のうち第⼀類物質、第⼆類物質を製造、もしくは取り扱う業務

  ただし、次のものは除く

  1) エチレンオキシドとホルムアルデヒド(含有率が 1%を超える製剤その他の物を含む。以下同様に物質ごとに省令で定める含有率を超える製剤その他の物を含む。)

  2) オーラミンとマゼンタは、当該物質を製造する事業場以外の事業場において、これらのものを取り扱う業務。

  3) エチルベンゼンは、屋内作業場等における塗装業務以外の業務

  4) 1,2-ジクロロプロパンは、屋内作業場等における洗浄又は払拭の業務以外の業務

  5) クロロホルムほか 9 物質※は屋内作業場等における有機溶剤業務以外の業務。

  6) コバルト及びその無機化合物を触媒として取り扱う業務

  7) 酸化プロピレン等を屋外において、直結できる構造のホースを⽤いて、⾃動⾞等から貯蔵タンクに又は貯蔵タンクから、タンク⾃動⾞等に注⼊する業務。また、同様に貯蔵タンクから耐圧容器に注⼊する業務。

  8) 樹脂等により固形化された三酸化⼆アンチモン等を製造し、又は取り扱う業務。

  9) ジメチル-2・2-ジクロロビニホスフェイト(DDVP)を成形し、加工し、又は包装する業務以外の業務。

  10) 液状のナフタレン等について、密閉式の構造の設備からの試料の採取の業務、及び直結できる構造のホースを⽤いて、⾃動⾞等に注⼊する業務、並びに常温(35度を超えない)を超えない温度で取り扱う業務。

  11) リフラクトリーセラミックファイバー等のうち、バインダーにより固形化されたもの、その他粉じんの発散を防止する処理が講じられたもの(当該物の切断、穿孔、研磨等のリフラクトリーセラミックファイバー等の粉じんが発散するおそれのある業務を除く。)を取り扱う業務。

 ②労働安全衛生法第 55 条で製造等が禁止されている物質(石綿を除く)を試験研究のため製造、もしくは使⽤する業務

 ③石綿等の取り扱い等の業務

4 鉛業務

5 四アルキル鉛等業務

6 屋内作業場等における有機溶剤業務

【実施時期】

雇入れ時と配置換え時、6ヶ月ごとに1回、定期

【免除条件】

事業所指定以外の医師又は歯科医師の行なう健康診断(特殊健康診断に相当するもの)を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出した場合

【項目】

各有害業務によって異なるので割愛。

特定業務従事者の健康診断

【対象】

以下の業務に常時従事する従業員

イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

ハ ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務

ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

ホ 異常気圧下における業務

ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務

ト 重量物の取扱い等重激な業務

チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

リ 坑内における業務

ヌ 深夜業を含む業務

ル 水銀、砒素、黄りん、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、フッ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務

カ その他厚生労働大臣が定める業務

【実施時期】

上記の対象業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回、定期

【免除条件】

定期健康診断で[6]貧血検査、[7]肝機能検査、[8]血中脂質検査、[9]血糖検査、[11]心電図検査を受け、医師が必要でないと認めるときは、上記の項目の全部又は一部を省略できる。

【項目】

定期健康診断と同じ

海外派遣労働者の健康診断

【対象】

日本国外の地域に6か月以上派遣される従業員、またその業務から帰国して国内で業務を再開する従業員

【実施時期】

日本国外の地域に6か月以上派遣するとき、日本国外の地域に6か月以上派遣した従業員を国内の業務に就かせるとき

【免除条件】

雇入れ時の健康診断や定期健康診断などを受けてから6か月間以内ならば、受診した項目は省略できる。

【項目】

定期健康診断の項目+厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目

給食従業員の検便

【対象】

事業に附属する食堂又は炊事場で給食の業務に従事する従業員

【実施時期】

雇入れ時、上記の業務への配置替え時

【項目】

検便

歯科医師による健康診断

塩酸、硝酸、硫酸などを発散する場所における業務を行う労働者に対して行われる

【対象】

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄りんその他歯や歯ぐきに有害な物質のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所での業務に常時従事する従業員

【実施時期】

雇入れの際、上記の業務への配置替えの際、その後6か月以内ごとに1回、定期

まとめ

本記事では、企業における健康診断の重要性と具体的な内容について詳しく解説しました。健康診断は、従業員の健康を維持し、早期発見や予防につながる重要な取り組みです。

従事する業務によって受けるべき健康診断は異なります。従業員だけでなく事業所もきちんと管理することが大切です。

また、産業医は、健康診断の結果を基にした適切なアドバイスや指導を行い、従業員の健康状態をさらに改善するためのサポートを提供します。専門的な知識を持つ産業医がいることで、健康診断が単なる形式的なプロセスにとどまらず、実際に従業員の健康を守るための有効な手段となります。

ライフインベスターズでは、コミュニケーション能力や専門性など、書類や面接審査を通じて一定の基準を満たした厳選した産業医が所属しております。

大手法人様はもちろん、これから衛生委員会を立ち上げるスタートアップ・ベンチャー企業様への対応経験も豊富にございます。特にメンタル対応についてお困りの法人様から専門性の高さで高くご評価いただいておりますので、産業医の交代を含め、何かお困りやご不満がございましたら、無料のオンライン相談も受けつけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

【参考文献】

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo51_1.html

https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318#Mp-At_22-Pr_3

https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032#Mp-Pa_1-Ch_2-Se_4-At_13-Pr_1-It_3

https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/content/contents/001489336.pdf

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