この記事はこのような方に向けて書いています。
・発達障害の人は具体的にどのようなことに困っているのか知りたい方
・発達障害の人に対して配慮すべきことは何か知りたい方
発達障害を抱えている方は日常生活において困りごとを抱えているケースが多いです。発達障害を抱えていない人にとって当たり前にできていることができない場合、発達障害を抱えている人と周囲の人の抱えていない人の間で認識にずれが生じ、生きづらさにつながってしまいます。この記事では発達障害を抱える人の困りごとに注目してその対処法を考えようと思います。
発達障害とは
発達障害とは、脳機能の障害により言葉の発達が遅れたり、コミュニケーションがうまく取れなかったり、特定の分野の勉強が極端に苦手になったり、といった症状が現れる障害です。そのため、発達障害を抱える多くの人は生きづらさを感じています。
一口に発達障害といっても様々な障害があり、それぞれ症状の現れ方は大きく異なります。具体的には自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害、アスペルガー症候群などがあります。これらの障害は診断名のつく病気であることを見逃されているケースも少なくなく、幼少期に症状が出ていてもただの怠け者だと思われ見過ごされていた症状が社会人になってから実は発達障害だったと分かる場合も多々あります。
これらの症状は薬物治療による対症療法はあるものの、原因療法は見つかっていません。
発達障害は親のしつけや教育に起因するものではありません。また、その症状は障害の程度や年齢、生活環境によって異なり、複数の症状が同時に現れることもあります。周りの人々の発達障害への理解が大切です。
それぞれの障害の特徴については以下の記事もご参照ください。
発達障害がある人の困りごと
上記の通り、発達障害といっても様々な障害があり、それぞれ症状の現れ方は大きく異なるので、日常生活において困ることも異なります。障害の種類ごとに困りごとを整理しましょう。
自閉症
①聴覚過敏
自閉症の人の中には特定の音を不快に感じたり、普通の人が気にならない音が耐えられないほど大きく感じられてしまう人がいます。これらの音によりイライラして周囲に当たったり、疲れてしまうことがあります。
対処法
・耳栓やイヤーマフを使う
・静かな場所に移動する
・周囲の人に相談して刺激の少ない環境を整えてもらう
②はっきりと言われないと分からない
「あれやっておいて」といった具体性に欠ける指示や暗黙の了解とされている一般常識を理解できないことがあります。そのせいで、空気が読めない人という印象がついてしまうこともあります。
対処法
・具体的で分かりやすい指示を与える
・ルールは明文化する
③表情と感情が結びつかない
自閉症の人の中には感情が表情に出にくい人もいます。周囲の人は表情から感じていることをくみ取ることができず、また、本人も相手の表情から相手が考えることを想像することが難しくなっています。
対処法
・必要に応じて分からないことは本人に確認する
・表情だけで伝わると考えず、感じていることで共有したいことがあったら言葉にして伝える
④「知らないこと」に対して不安を覚えやすい
急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりといった「知らないこと」に対して不安を覚えやすい人もいます。これによりパニックを引き起こすこともあります。
対処法
・変更後の予定を明確に示す
・変更の可能性を事前に伝えておく
注意欠陥多動性障害(ADHD)
①集中できない(不注意)
すぐに気が散って仕事や課題が進まない、もの忘れや失くしものが多い、単純なミスが多いなど、ADHDによる不注意の症状が出やすい人がいます。
対処法
・ものの置き場所を決める
・持ち物をセットにする
・移動中のものの持ち方を決める(網棚は使わないなど)
・タスクを細かく分ける、目標を設定する
・チェックリストを作る
②じっとしていられない(多動・多弁)
静かにしなければいけないときに騒いでしまう、落ち着きがないなど多動・多弁の症状が強く出る人もいます。一般的には子供のことに目立ち、成長するにつれて症状は減ります。
対処法
・今は何をする時間かを自分に言い聞かせる
③考えるよりも先に動く(衝動的な行動)
優先順位をつけられない、思い付きで行動してしまう、計画性がない、一度に複数のタスクを進めることができないなど衝動性の症状が出やすい人もいます。
対処法
・タスクをすべて書き出し、優先順位をつけて見える場所に貼る
・優先順位をつけるのが難しい場合は上司や同僚の手を借りる
学習障害(LD)
①読むのが苦手
学習障害の人の中には特に読むことが苦手な人がいます。具体的には資料やマニュアルを読むのに時間がかかる、台本を使う際に一音一音区切ってしまい滑らかに読み上げられない、などがあります。
対処法
・資料やマニュアルの内容を音声でも指示してもらう
・図やグラフ、絵や写真などを利用する
②書くのが苦手
学習障害の人には書くことが苦手な人もいます。人の話と聞いているときにメモを取るとメモに必死になって話を聞けなくなる、といったケースがあります。
対処法
・指示は口頭ではなくメモやメールで伝える
・あらかじめ要点を抑えた資料を渡しておく
③聞くのが苦手
学習障害の人の中には聞くことが苦手な人もいます。この場合、上司の指示や注意が理解できずに困っていることもあります。
対処法
・指示は口頭ではなくメモやメールで伝える
・あらかじめ要点を抑えた資料を渡しておく
まとめ
発達障害はその人が抱える特性によって症状は異なり、困りごとの内容も変わります。この記事の中で当てはまるものがあったらこの記事を参考に、当てはまるものがなかったらどうしたらその困りごとを解決できるか皆で話し合ってみましょう。指示を口頭ではなく文面で行うことなどは発達障害の有無に関わらず指示をしたかしていないかという混乱を防ぐことにもつながりますし、だれにとっても文章のみの資料より図やグラフが入っている方が見やすいので取り入れた時にメリットを感じる人は多いと思います。ぜひ皆が過ごしやすい職場づくりを心がけてみてください。
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