産業医必見!産業医資格の更新方法~更新手続きが伴う産業医とは~

この記事はこのような方に向けて書いています。

・産業医の更新制度が良く分からない方

・産業医資格の更新方法を知りたい方

労働衛生のスペシャリストである産業医の資格を得る方法はいくつかあり、方法によって制度の在り方は異なります。同じ産業医でも必要な手続きが異なっていると混乱してしまいがちです。この記事では産業医資格の更新に焦点を当て、解説していきます。

目次

更新が必要な産業医とは

産業医の資格を得るにはいくつかの方法があります。どの方法を使ったかによって産業医資格の更新の有無が変わってきます。

まずは、産業医の要件を確認しましょう。

産業医になるには、労働安全衛生規則第14条第2項に規定されている以下の条件のいずれかを満たす必要があります。

(産業医及び産業歯科医の職務等)
第十四条 2 法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
一 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
二 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
三 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
四 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
五 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

労働安全衛生規則第14条

このうち日本医師会の研修を受けて産業医資格を得た者(第2項の一のルート)を「日本医師会認定産業医」と呼びます。

産業医の資格は基本的に更新の必要はありませんが、日本医師会認定産業医は更新が必要になります。

日本医師会認定産業医の資格の有効期間は5年間で産業医学生涯研修20単位以上を修了すると更新することができます。

資格の更新は手間ではありますが、認定産業医の資質の維持向上を図ることが目的ですので、この機会に法改正などの変化しやすい知識をきちんとアップデートしましょう。

日本医師会認定産業医の資格更新の方法

産業医資格の更新手続きは以下の手順に沿って行います。

1.生涯研修を受講する

日本医師会が行う産業医学講習会のほか、日本医師会の指定を受けて都道府県医師会、郡市区医師会、教育機関などでも、認定産業医の生涯研修のための研修会を開催しています。

なお、日本医師会の産業医学講習会を受講修了すると、労働衛生コンサルタントの筆記試験が免除になります。

生涯研修は1時間の研修を1単位として認定証取得後の5年間(認定証に記載されている有効期間中)に20単位以上修了する必要があります。内容は以下のように定められています。

①更新研修(1単位以上)

 労働衛生関係法規と関係通達の改正点などの研修

②実地研修(1単位以上)

 主に職場巡視などの実地研修、作業環境測定実習などの実務的研修

③専門研修(1単位以上)

 地域特性を考慮した実務的・専門的・総合的な研修

なお、WEB 研修会で取得した単位のうち更新時に利用できるのは、20単位のうち最大5単位以内となっています。WEB 研修会の開催は更新研修と専門研修のみを対象とし、実地研修は対象外です。

また、更新に必要な生涯研修の受講は、有効期限当日まで可能です。

2.提出物をそろえる

産業医資格の更新申請手続きには以下の書類等が必要です。

①認定産業医更新申請書(認印が必要です)

*認定産業医証の有効期限の3~4ヶ月前に各都道府県医師会から医師会員である認定産業医は日医雑誌等の送付先に、医師会員以外の認定産業医は自宅に送付されます。

②産業医学研修手帳(Ⅱ)(生涯研修20単位以上のカリキュラムを修了したことが証明されていること)など

③審査・登録料10,000円

3.提出する

所属の都道府県医師会(医師会員でない医師は勤務地の都道府県医師会)に提出します。

なお、申請方法、申請受付期間は都道府県医師会によって異なりますので、申請にあたっては、一度、都道府県医師会にお問い合わせ下さい。

まとめ

ここまで産業医資格の更新について解説しました。日本医師会認定産業医以外の産業医の方は更新について気にする必要はありませんが、日本医師会認定産業医の方は有効期限が切れる前に必ず更新を行いましょう。申請書類と手続きの案内は医師会から郵送されるので更新手続きの存在そのものを忘れることは基本的にはないと思いますが、研修は計画的に受講しておく方が良いでしょうし、事故で書類が届かない可能性もあるので、脳の片隅に更新手続きのことを留めておくことをお勧めします。

より深く領域で産業医をしたい人にとって日本医師会認定産業医以外にも日本産業医衛生学会の産業衛生学会専門医や労働衛生コンサルタントの資格などもあるため、そのような分野を体系的に学んでいくこともできるのでより深い勉強をと思えばぜひ取り組んでいただけると良いかもしれません。

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【参考文献】

労働安全衛生規則 | e-Gov法令検索

日本医師会認定産業医制度 | 日本医師会 全国医師会産業医部会連絡協議会 (sangyo-doctors.gr.jp)

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